教授になりたいという人もいるけれど

午前中から論文の添削。添削すると MacBook Air も13インチにしてよかったと思う。11インチだと最低限のことしかできないので、時間がもったいない。

お昼、桃山のICHIJIKU というお店に行く。ここは日曜日やっていないのと、夜はやっていないので、土曜日に来るしかないのだが、なかなか土曜日のお昼に出歩く気力と体力が残っていなかったのである。

店内はだいぶ開放的だし、ご飯もデザートもおいしいし、リーズナブルでよい。ちょっと外でくつろぎたかったらこっちに来たほうがいいかも。国道24号線から西に行くと、なにかと疲れるので……。

帰宅後、添削の続き。研究室のほうが作業効率はよいのだが、往復2時間半かかることを考えると、自宅のほうが楽。悩ましいところである。だいたい5時間以上作業するなら研究室に行ったほうがよいような感触なので、研究室にいると作業効率が50%アップするようである (当然といえば当然であるが)。

[twitter:@kazushi_] さんの Twitter 経由で阪大の大学院のQAを知る。おもしろい。生協の白石さん的なおもしろさがある。これは教授が回答しているのだろうか (笑)

しかし質問している内容や書き方が「いかにも」という感じで、阪大の教員の方々も大変だろうなと思う。なぜだか分からないが、就職先のことを執拗に気にする人がいたり、「絶対に」研究者になりたいという人がいたり、人生「勝ち組」に入りたいという思いが非常に強い学生が目に付くのである。(NAISTの学生は牧歌的でまったりしているが)

昼間の喫茶店でも隣の席のカップルの男子学部生っぽいほうが「将来自分が教授になれるか」という話をしていたようだが、教授になりたいかどうか以前に、どういう仕事か理解しているのだろうか……。

自分も助教になりたてのころ何人かの方々から「日本の国公立大の情報系で准教授になるには共著でもいいから最低論文誌を10本くらい書く必要がある (査読付き国際会議ではだめなようだ)」と教えていただき、気にならないわけではなかったが、去年の夏〜秋ごろから論文数は割とどうでもよくなって、それよりは他の人のために残しておくべき研究は論文誌に発表しておきたいと思うし、そうでないならあとは研究を中心になって進めてくれた人がどうしたいか次第 (嬉しいことに、書くことで成長できるから挑戦したい、という学生も少なからずいる) ではないかなと思うようになった。

(アカデミックな) キャリア的には自分の考えは不利益になるのだろうが、自分の中でのプライオリティがはっきり分かって、気持ちはだいぶ楽になった。一番は家族で、二番は学生で、三番が研究 (要は、論文を読んでくれたり議論に付き合ってくれたりする他の研究者やエンジニアの人たち、ということ) で、四番目以降が自分のキャリアとかなんだとか。将棋で絶大な強さを誇っていた羽生善治が、「自分一人ではこんなことはできなかった。切磋琢磨してくれる仲間がいてくれたからこそ」というようなことを書いていたが、自分も同じように思う。

それに関連して、なぜ、教授になったか?なろうとしたか?を読んで、自分のことについても考える。たとえば

教授と自分の年齢差は分かっているので、同じ大学・同じラボでプロモーションしていくタイミングもすでにみえていて、自分のオリジナルで仕事をしていけるのが随分先のことだともわかっていました。私を助手として採用してくれたボスは、年齢差を考えて、自分がリタイアの時に私が後任教授になるつもりで、研究だけでなく、学内外で控え目にして、周囲の人と協調してやっていきない。と、いってくださっていました。今、思うと、本当に私のことを考えてくださっていたのだと思います。控えめにする、謙虚にするというのは日本人として美徳なのですが、小さなことだと、共通機器の予約をしていても、他研究室の年齢が下の教員が、譲れといってきたり(自分のボスは、力のあるOO教授だから、重要な実験をしているから、先に使って当然だ)、大学から1件しか申請できない研究費の学内選考については常に他に譲るようにいわれたり・・・・

(中略)

『女性が30歳すぎて1人暮らしで助手をしていて、御父さん、御母さんが悲しむよ・・』と、事務局長にいわれた時は、さすがに、どん引きしましたが。

今でいう若手研究B(当時は奨励研究といってAもBもなかったのですが)に採択されたとき、担当の事務の方から『女性でも、科研費ってもらえるんですね・・』と、いわれました。さらに、基盤研究Bをとったときに、女性の助手がそんなものを取るのはおかしい・・ここは、研究所でなく教育機関だから、研究ばかりやられると困る・・と、ボス以外の教授2名からいわれました。ボスは気にすることはない、と、いってくれたけど、ここでは新しいことを見つけたい、という科学者としての夢を女性では、みることが出来ないなあ・・と、何となく感じていたことも事実です。

こういう話、周囲でも聞かないわけでもないので、自分も今の研究費や研究内容に関してのびのびとやらせてもらっている環境は、ありがたいものだなと思うのである。自分もこういう環境を維持するためにできる限りのことはしていきたい。