[twitter:@teenst] くんのTwitter経由で私がアップル社のインターンシップをTwitterで募集することになった経緯と結果を読む。たぶん日本の大学生はApple (に限らずアメリカの大企業で求められている能力) を知らないので、「チャンスがあるなら挑戦したい!」と思うのかもしれないが、ほとんどの人の場合、応募以前の問題であることが多いのではなかろうか。たぶん日本的感覚では、勉強のためにインターンシップに行きたい、というのだろうが、少なくともなにがしかの仕事ができる人でないと難しいのである。
Appleでのインターンシップについてはこちらの記事にも反応したことがあるのだが、コードを書ける人に言いたいのは、日常的に英語を使いましょうということ、逆に英語にはそんなに問題がないなら、開発しましょうということ。恐らく何らかの世界的なオープンソース開発コミュニティに2年以上継続して所属して開発活動に参加し、メーリングリストやチャットで英語でコミュニケーションを取りながら開発に参加していれば、日本にいる大学生としては十分な (開発で必要とされる) 英語力と開発力は身についていると思うし、プログラミングコンテストで上位に入賞したり未踏に採択されたりしていないのであれば、それぐらいはやってから応募したほうがいいと思う。開発への参加は、特に特別な能力が必要なわけではなく、ちゃんと英語で周りの人と意思疎通ができるか、チームで開発ができるか、そういう能力があればよいのである。
そういう意味では、「パッチ採用」はじめましたという試みは非常に興味深い。コードをその場で書かせる面接は、入社後の社風に合うかどうかは分からなかった、という素直な反省と、どういうプロセスだと自社にふさわしい人材が採用できるか、という提案がセットになっている。海外で働きたいと思っている人、アメリカでAppleやMicrosoftやGoogleに行ってインターンシップをしたいと思っている人 (Googleには結局学生のうちは行けなかったが、恐らく同様の基準だと想像する) は、どういうことが自分に求められているのか、「パッチ採用」を読んで考えてほしいと思うのである。
今学部2年生であれば、今すぐ積極的に参加すれば4年生までには十分な実力がついていると思うし、学部3年生でも修士を出るまでにはだいぶ余裕がある (ただし、その場合は修士での日本における新卒の就職活動を放棄する覚悟が必要かもしれないが)。大学院に入学してから思い立った人は少し遅いかもしれないが、あなたがまだM1で、博士後期課程まで進学する予定なら、(それなりにしっかりした研究室であれば) 博士のうちにはどこかしら海外で数ヶ月はインターンシップなり研究留学なりできるチャンスは巡ってくるだろう (研究での海外留学目指すのであれば、オープンソース開発活動より、国際会議で論文を発表したほうがよいと思うが)。
そういうわけで、海外に行きたいと思った人は、今すぐ行けるというチャンスが来ることばかりを待つのではなく、数年後つかみに行くチャンスのために、一見地味に見えるかもしれない泥臭いことでも、継続して取り組んでみる価値はあると思う。時間はかかるが、経験や信頼を得るには時間がかかるし、他の人と自分が違うのはそういう長い時間をかけて積み重ねてきたものなのである。(「意識が高い学生に見えるような恥ずかしいことはしたくない」と言い訳する学生もいるだろうが、自分に人生を自慢しなさいと言うのではなく、自分の人生に自信を持ちなさいと言いたいのである。自分が恥ずかしくないと思うことをしていれば、どう見られたっていいんじゃないの?)