少しずつ喉の調子が戻ってきているが、まだ本調子ではない。
午前中は古井先生の「AI時代の大学と社会 -- アメリカでの学長の経験から」というトークを Zoom で参加させてもらう(東大関係のイベント)。ホストの方から音声とビデオをオンにしてほしい、と言われたのだが、家族全員がリビングにいたのでちょっとためらわれ、一瞬だけオンにしてあとはオフに……。
これ、以前この日記でも紹介した古井先生の近著の内容をベースにしたトークで、最初の1時間はスライドを使って本の中身に準拠した説明、後半の1時間は質疑応答、という感じで、前半部分は大体読んだ内容であった(少しアップデートがあった)が、後半部分は色々と考えさせられるものがあった。今年の4月から東大の総長になった藤井先生も QA に参加されていたが、色々な立場の人がそれぞれ意見を述べられていて、いい場だなあと思ったりする(自分は東大にはあまりシンパシーを感じていないので、若干場違い感があったが)。
しかし都立大のような地方公立大や、東大以外にもたくさんある国立大では、東大のようにできるわけでもなく、そもそも東大ですら色々できないことはあるなあ、と思ったりする。そもそも日本のほとんどの大学では、アメリカ型の研究大学を目指すのは無理があるだろう、と思っているのだが……。1人 assistant professor を雇うとき、スタートアップ資金として100万ドル用意したりする(トップ校でなくても70万ドル用意したりするのは普通)、ということだが、日本ではこの1/10の金額でもなかなか出せないんじゃないか、と思うし。
結局日本だと若手の教員を育てるような環境が壊滅してしまったので(そのような余力も、国として貧しくなったためにないのだろうが)、ポスドク〜助教くらいの若手がゆっくり力を蓄える、みたいなことはできず、ゆっくり研究できるのは(講師または)准教授からがスタート、みたいになっているような気がする。その頃にはもう研究者としての勢いがなくなっていても仕方ないが。そうすると、博士号をストレートで取る学生の最適解は2パターンで、博士号を取ったら速やかに准教授になる(数年でポスドク〜助教を駆け抜ける)ケースか、あるいは逆に十分研究に集中できる環境でポスドク〜助教として過ごせるならそこで力を蓄えて、40歳前後でおもむろに准教授、みたいなケースか。生活の安定的には前者がいいが、ファーストで論文を書ける期間が短い、という問題があり、後者はその逆。そして、博士号をストレートで取らない(修士号を取ってから一度企業で働いて、フルタイム博士後期課程に出戻るとか、あるいは社会人博士になる)というルートがあり、生活の安定を考えなければ一度企業で働いてから理論的な研究をするのが一番いいのではないかと思ったりする。
午後は上の子は例によって小学校の友だちの家に遊びに行ったので、下の子と2人で公園に行った後、2人で爆睡。やはり体調が悪いので、回復に努めるしかない。