引用がされる論文を書きたい

首都大に来てからというもの、仕事に関する価値観を変えようと思っていて、その一つに論文の評価というものがある。自然言語処理分野では、というか、広く情報科学分野では、査読付き国際会議や査読付き論文誌で研究成果を発表するのが一般的で、基本的には査読を受けない研究成果は業績にカウントされない。そこで業績にカウントされるよう研究成果を論文にまとめて投稿するわけだが、最近は投稿した論文が(将来にわたって)どれくらいインパクトがあるか? ということを考えるようになってきた。トップカンファレンスで論文を発表するのもよいが、実際にみんなが読んでリファーしてくれる論文を書くべきだという意識になっている。メジャーな国際会議で発表すればするほど、読まれてリファーもされやすくなるので、基本的にはより難関の国際会議で発表する、という戦略になる。

論文がリファーされているかどうかを確認する一つが例えば Google Scholar Citations (小町のページ)DBLP(小町のページ)で、Google Scholar だと誰のどの論文がどれくらいリファーされているか、ということが分かり、h 指標という指標で数値化もされているので、大変使い勝手がよい。欠点は、アカウントが登録されていないと個人ページができないので、この人のよく引用されている論文は何か、というのが調べにくかったりする。

その裏で、日本語で論文誌を書いても国際的には評価されないので、和文論文誌で発表することに対する自分の中の相対的な重みが低下している(日本語でしっかり書くことの意義もあるし、日本語で書いたほうが例えばエンジニア界隈では読まれやすいので、研究的に評価されないから意味がない、と言いたいわけではなく、有限の時間をどのように振り分けるか、という優先順位の問題)。ただし、博士後期課程の学生や進学予定の学生は、論文誌を書くことに対するインセンティブがあるし、日本学生支援機構奨学金の返還免除を狙う学生には論文誌は非常に重要なので、在学中に採否が間に合うなら投稿することを勧めたい。

助教のころ、日本では准教授になるには目安として共著や和文誌も含めて査読付き論文誌が10本、と言われていて、自分は論文誌がまだ5本のときに公募に応募していたりしたので、今考えると身の程知らずな気もするが(その後、NAIST 時代の研究成果が全部論文誌に採録されたら、10本を超えた)、いま日本の教員は忙しすぎるので、何かを諦めないとコンスタントにアウトプットを出すのは無理では、と思っている。適当に h 指標と職位を当てはめると、日本だと

みたいな感じだろうか?自分的には今後10年でとりあえずここの h 指標を20にする(20本以上の論文に引用されている論文が20本以上ある、という状態にする)ことが目標。