定員を出願前に管理する

午前中、眼科に寄ってから出勤するために武蔵小金井駅で降りたら駅前にこんな電子掲示板が。学内から直接 NICT の ntp サーバにはつながらないので、学内の ntp サーバにつないでいるけど。

お昼休みは3月28日に依頼されている新入生歓迎会の招待講演の打ち合わせ。情報科学科の B1 の学生が連絡役になってくれているようで、招待講演の打ち合わせもそこそこに、1年間過ごしてどうだったか、という話を色々聞いてみる。だいたい、情報科学科のカリキュラムをデザインした狙い通りになっている気がするので、一安心。あとは1期生のみんなが修士を出るころまで追跡して、その結果を見て次どうするかという話。一サイクル回すのに6年かかる(B3 でのカリキュラムに対する変更であれば、4年で1サイクル回せるが)ので、自分が仮に定年まで今の環境にいるとして、あと4回しか回せないが、改善されているのを聞くのは嬉しいものである。

午後は言語処理学会年次大会の発表練習。今回は全員ポスターなので、来た人のポスターを順次チェックする。インターンシップだとか何だとかで、来ていない人もちらほらいるが、うちの研究室は授業期間はきっちり研究して、長期休暇期間中はリフレッシュしてもらうことにしているので、こればかりは仕方ない(外に行って経験を積んだ方がいいことが多い)。

夕方は博士後期課程を受験希望の社会人の方の相談に乗る。学士号と修士号の両方を持っていないということで、本学でも社会人経験を評価して博士後期課程に入学することを認めたケースもあり、出願資格認定については大丈夫だと思うのだが、博士後期課程は進学すれば博士号が取得できるというものではないので、まず論文がきっちり書けるようになってから入ってはどうですか、というアドバイスをする。具体的には、博士前期課程に入って修士論文を書いてから来る、というのが一つ、あるいは研究生になって言語処理学会年次大会でもいいので一つ研究発表をしてから進学する、というのが一つ。博士後期課程に入っても、結局自力で論文が書けないと何年かかっても博士号は取得できないので、最近は後者もありかなと思ったりする。

うちの大学院も文科省の通達により(意向を忖度して?)厳格に定員管理をされることになり、毎年博士前期課程の人は(内部進学者の人数にもよるが)外部からは若干名しか出願を許可できなくなってしまい、博士前期課程の出願を認める人の方針を変える必要があると思い始めている(これまでは、出願は絞った上で認めて合格した人の中から定員を決めていたので、問い合わせのあった人のうち1/10くらいに受験を許可できたが、これからはそもそも出願の段階で絶対数として定員管理をする必要がある)。NAIST の松本先生の定年退職に伴い、これまでなら NAIST 松本研を勧めていたような学生(2年間でもきっちり国際会議に投降するような成果を挙げられそうな人)を受け入れるつもりである。

ただ、逆に言うと、博士前期課程だけだと微妙で、博士後期課程にまで進学してくれれば成果を挙げられそうな人はお断りすることになる、という意味でもあり、うちは他と違って博士後期課程に進学する人を優先的に受け入れようと思っていただけに、方向転換は悩ましい。ただし、ここまでのところ、博士前期課程から博士後期課程には13人中2人しか進学してくれていない(課程博士は1人のみ)し、データに基づくと後者のような人を受け入れるインセンティブは低く、博士後期課程に進学したいという口約束をできず他大学に行った人が損をする(いや、NAIST 松本研に行ったなら、個人的には結果的にどう考えても得な選択をしただろうと思うが)ようなシステムになるのはよくないと思っている。そもそも博士後期課程に進学するつもりのない人でも、研究がうまく行ったりして10人中1人くらいは進学する可能性があるので、進学の意志で受験を断る意味がないし、これまでは NAIST 松本研を勧めていたような学生の方が、1年間でも就職活動の前に成果を挙げて結果的に進学したくなる可能性が高いのではないかと。