専門を変えたいならば D 進を

午前中、少しだけ病院に行く。もらったはずの薬が見当たらないので……(自分でも意味が分からない)。

お昼から4件の進捗報告で、結局13時から17時までずっと話を聞く。今学期の反省は博士後期課程の学生で、博士後期課程の学生に使ってあげる時間が少なすぎたかなぁと思っている(しかし、自分の博士の学生のころは半年に1回進捗報告があるかないかくらいだった)。進捗報告ではないにしても、もう少し話を聞いた方がいいなと思った。

夕方は夏季入試の博士前期課程の受験希望者と Google Hangout で面談。色々お話を聞いたところ、キャリア的にも考え方的にもかなり自分と近いので、うちに来てもらうといいのではないかと思わなくもないのだが、博士後期課程に行くかどうかよく分からない、というのがネック。今年は外部受験生がうちの研究室の出願を認める要件として、博士後期課程に進学希望という要件を外してはいるのだが、現実的に2年間だけうちに在籍して新卒で自然言語処理に関する仕事に就ける可能性は1割くらいだと思うのである(NAIST 松本研でも3割なかったと思うが)。その状況でも来たいという人がいることは理解するのだが、うちは受け入れられる学生の数が限られている(毎年内部進学者を除くと3人程度)ので、自然言語処理関係の仕事に就きたい人に来てほしいし、悩ましい。うちは情報系の基礎知識を教える仕組みがないので、修士の2年間だけ専門を変えて就職したいなら、どう考えても(勉強的にも、研究的にも、就職的にも)NAIST の方がいい環境なので……。(博士後期課程に進学するという人には、博士の学生としては十分な環境と機会は提供できていると思うが)

ちなみに、今年からは少しやり方を変え、大学院に合格してから卒業論文・卒業研究相当の研究をうちの研究室でやる(別に卒論でなくてもいいのだが)、ということをスタートしてみるつもりなので、これで回る(内部進学生と同程度に、ほぼ全員が言語処理学会年次大会で発表でき、そのうち半数程度が国際会議に投稿する、という状態)なら特に修士の2年間だけの人でも問題なく受け入れられるはず。

進学先の研究室が進学前の勉強に介入するのはいかがなものか(入社前の学生にたくさんの課題を課す企業みたいな?)と自分では思うのだが、進学後の2年間では研究するには足りないので、こればかりは仕方がない。この問題が起きないよう、博士後期課程に進学希望の人だけを受け入れていたのだが、現実的に受験前に聞いていた通りに博士後期課程に進学する人が少ないので、進学希望の条件だけでは研究に必要な時間の確保が担保できないのである。入社してから十分に時間が取れる企業と違い、修士の標準修業年限は2年間しかないので、こればかりは勘弁してもらうしかないが……(これもダメと言われたら研究生を1年間やってから入学、あるいは修士を3年間やってもらう前提で動いてもらうことになる)

自分が修士の2年間だけ終わった状態での知識を思い返すと、確かに博士後期課程に進学していない状態で自然言語処理の仕事をするのは難しかったのではないかなぁ、と感じるし、就職のときに(たった2年しか学んでいない)修士での専門が考慮されないのは仕方ないように思っている。(NAIST を出た人ならまだ情報科学の基礎を身につけていることは分かるのでよいが、うちの研究室だと分野外から来た人に情報科学の基礎知識があることは保証できないので、ソフトウェアエンジニアとして就職しようとしても潰しが効きにくいという問題がある)