コンピュータ将棋を作る開発者

午前中は B3 の情報理論の授業である。今年はスムーズに進み、さ来週の中間試験までの範囲に余裕があったので、授業時間中に情熱大陸の山本一成さんの番組を見せる。内容はコンピュータ将棋を作ってトッププロ棋士と戦うという話で、現役の名人に2連勝と、もう今年で人間はコンピュータ将棋に勝つことはできないのでは、と思わされるのだが、人工知能の研究・開発をするというのはどういうことか、というのが端的に分かるよい番組だったので、解説入りで流したのである。

自分自身、教職を取るために教育関係の授業を履修していて、何の授業だったか記憶にないが、ビデオ教材を使った授業方法の紹介で(実際ビデオを見せながら)「授業内容の関するいいビデオを1本見つけたら、それだけで教材ができたことになる」ということを教わったのをよく記憶していて、毎日「何か授業の教材になりそうなネタはないかな」と思って過ごしているので、割と授業をするのは好きである(授業がなければわざわざ記憶や記録をしておこうと思わないので)。

他にも予備校でプロの教え方を見たりしたのも役に立っているし(高校までは教員の教育に対する情熱を感じたことはほとんどなかった)、回り道しても役に立つこともあるのだなと思ったりする。予備校の授業、時間の2-3割は雑談や勉強に対する心構え、物の見方に関する話だったと思うのだが、そういう話を通じて(授業時間外に)勉強しようというモチベーションを上げるのがとても重要だったと感じるし、自分の(学部生に対する)仕事は授業時間外にどれだけ(英語、数学、プログラミングの)勉強に時間を使ってもらえるようにできるか、ということだと考えている。

昼から南大沢に移動して大学運営(ワーキンググループ)の打ち合わせ。これも文科省関係のお仕事なのだが、よくもまあ定期的にいろいろ変えるものである。とはいえ、自分が学生のころより学生目線では確実に教育はよくなっていると思うし(教員目線では確実に環境は悪くなっていると思うが、それは研究面でのことが主)、教員が疲弊しない程度にしてもらいたいと願っている。

4限のオートマトンと言語理論の授業でも情熱大陸を見せたが、こちらは前の週に番組について宣伝したので見た学生がちらほらいて、少し申し訳なかったかなーと思ったりする。でも自分でテレビ番組を見てくれる学生がいて、大変期待できる学年である。というか、少なくとも人工知能分野に関しては、自分が着任した年に受験生だった学年が現在 B4 で、学年が下がるにつれて(ブームもあるだろうけど)人工知能ビッグデータに興味がある学生が増えている感触があるので、毎年期待度が上がっている。

授業のあとは日野に戻ってカリキュラム委員会(たっぷり2時間)。この委員会、出るたびに「そんなことも考えるのか〜」という発見の連続で勉強になるのだが、みなさん本当によく考えているなぁ……。大学の制度や組織、規則やカリキュラムは、これおかしいんじゃない?と思って軽い気持ちでいじると痛い目を見るので、色々地雷を踏まない細心の注意が必要なのである(自分は氷の上を気にせず渡るタイプ)。