一橋 SDS に移ります

既に一橋大学のサイトに公開されているのでこちらでもオープンにするが、来年度に一橋大学に新設されるソーシャル・データサイエンス学部・研究科に行くことになった。2023年4月に入学する学部生および大学院生(このタイミングでは修士課程のみ、博士課程は2025年4月入学予定から) の募集がスタートするので、興味ある人は11/5開催予定のオープンキャンパス(オンライン、要申込)に参加してほしい。ちなみにソーシャル・データサイエンス学部の略称は SDS である。

行くことにした理由はいくつかあるのだが、最も大きな理由は、新しい分野を切り開くというチャレンジに挑戦したくなったからである。「ソーシャル・データサイエンス学部なんて F ラン感ある名前はどうなん」みたいな意見もあるが、自分は知名度がない組織に行って知名度を上げるのが好きなので、むしろ「こんな学部できるのか」「そもそも一橋に理系の学部なんて作れるのか」と思ってもらえるくらいがちょうど良い(知名度のなさ、何やっているのかの分からなさでいえば、「奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科」や「首都大学東京システムデザイン学部」もたいがいである)。10年以上前Google に行ったからすごいのではない。すごい人が Google に行ったのだ というエントリを書いたが、まだ評価が定まっていないところに飛び込もうというのは NAIST に入ったときからずっと心がけている。

それとも関連するのは、都立大が今後東京における情報系の拠点の一つになるのは確実だと思っているのだが、裏を返すと都立大では今後は理系のコンピュータサイエンスをする学生しか入ってこない流れであり(これ自身は都立の大学としてそうするということなので、是非を問うことではないしむしろ良いことだと思うのだが)、人文社会科学系の学生を広く受け入れたいと思っている自分とはちょっと向きが違うなと感じていた。研究の柱としても、2021年までは「人工知能・自然言語処理分野」「ソーシャル・マルチメディア分野」「ビッグデータ・マイニング分野」という3分野体制であったのが、2022年からは「AI・データサイエンス分野」「人間情報・知能情報分野」「ソーシャル・マルチメディア分野」に再編され、情報科学科としては再編前の人工知能で1分野、データサイエンスで1分野くらいが研究的には妥当かなと思っていたので、分野的にも合わなそうに思ったのである。

前からも何回か書いているが、自分としては40代半ばから50代半ばに(そこから手がけた研究で)自分の代表作と言えるようなものを残したいと考えているので、お声がけいただいたタイミング的にピッタリで、自分はこういうビッグウェーブには乗ることにしているので乗った、という次第である。自分の人生、神様がこちらに行け(そちらには行くな)と指示しているのかと思うような分岐点が数年に1回くらいあり、半信半疑でも「そういうことか・・・?」と思って選択すると結果的に後から考えるとあれがターニングポイントだった、ということばかりなのである。

都立大ですでにうちの研究室に所属している学生は最後の1人まで引き続き面倒を見るつもりだが、形式的な指導教員が変更になったり、物理的に肩身の狭い思いをさせることになったりするのがちょっと申し訳ない。あと、まだ研究室に配属されてはいないがうちの研究室があるというのが都立大を選んだ理由の一つにある学生には申し訳ないのだが、そういう学生については大学院では一橋を受験してもらうことは可能なので、とりあえず来年度の学部生向けの授業については非常勤講師として担当するつもりである(今の学部2-3年生が未配属の学生なので、その学生たちが小町による「自然言語処理」および「機械学習」の授業は受けられるように)。

ともあれ、来年度以降は研究についてはしばらくオンラインで都立大と一橋の学生両方一緒にミーティングしていくことになると思うし、一橋に先に赴任されている欅さんとも研究グループとして連携する予定 なので、縦に深み、横に広がりのある形で時代を切り拓くような研究ができるようにしたいなと思っている。