ティーチングアシスタントは勉強するチャンス

午前中、自然言語処理の大学院の授業。研究室の学生は出席を必須にしている(研究室の学生でなければ、出ても出なくてもよい)のだが、2限だからか、出席率がよくない。しかし、出席してほしい人(ちゃんと勉強した人はいいのだが、ちゃんと勉強していない人)ほど出てこない……。

午後はSLP(自然言語処理の教科書)の輪読。最近はみんな準備も慣れているようで、全員スムーズに進む。やはりどれくらい英語に触れたことがあるか、という時間の問題ではないかと思うし、最初からもっと英語漬けにしたほうがいいと思った。学部2-3年生くらいから英語で情報を得る割合を増やしてほしいのだが、どうやったらいいのかなぁ。

そういえば、自分が東大の教養学部基礎科学科に進学したときは、1年間毎週英語の教科書の輪読に出るのが必修で、自分は Essential Cell Biology を1/3くらい読んだのだが、いまは Kindle 版があるのか。1,000ページ近くあるので、Kindle版があったらKindle版を買うよな〜。

Essential Cell Biology

Essential Cell Biology

  • 作者: Bruce Alberts,Dennis Bray,Karen Hopkin,Alexander D Johnson,Julian Lewis,Martin Raff,Keith Roberts,Peter Walter
  • 出版社/メーカー: Garland Science
  • 発売日: 2013/11/05
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自分は科学史・科学哲学専攻だったので、1年で離脱させてもらったが、生命科学専攻の人たちは2年かけて全部読むらしい。やはり時期的には学部3年の前期くらいから、英語で教科書なり論文なり読む訓練をしたほうがいいよなぁ。

夕方には深層学習の勉強会。今日は

  • Kiela and Bottou. Learning Image Embeddings using Convolutional Neural Networks for Improved Multi-Modal Semantics. EMNLP 2014.
  • Mikolov et al. Linguistic Regularities in Continuous Space Word Representations. NAACL HLT 2013.
  • Mnih et al. Playing Atari with Deep Reinforcement Learning. NIPS DL Workshop 2013.

である。勉強になったのは2つ目の論文で、recurrent neural language model の仕組みが分かってよかった。しかしこれも再帰的に(非線形関数を用いて)計算するのが(言語処理としての)ポイントで、ニューラルであるところがポイントではないように思うのだが、現実的にはニューラルネットワークを含めたいろいろ地道な技術の積み重ねで実現されているのだろう。(というか、何を満たしていればニューラルネットワークと呼ぶか、人によって違うかも)

勉強会のあと、研究室公開。学部3年生は1人のみの見学で、さびしい感じであったが、マンツーマンで研究の説明ができたし、任意で書いてもらっている5段階の志望度調査票はもっとも高い志望度を書いてくれ、見学者が多いからいいものではない、と当然ながら思う。自然言語処理の授業を学部3年生までに行っていないので、研究室公開に来てくれないと、言語処理の話を一度も聞かないまま研究室の希望を出すことになるし、言語処理はかなり特殊な分野だと思うので、研究内容を理解した上で来てほしいのだ。

夕方から夜にかけて、週末の Apache Spark セミナーの演習に関するミーティング。今回、講義の部分は自分が喋るのだが、1時間ある演習の部分は、当日の補助と演習で使う演習問題の作成を合わせ、16時間ぶんの TA を頼んでいるのだ。

任せればなにもしなくていいかというと、そういうわけでもなく、結局自分も8時間くらい「TAのTA」よろしく演習問題の作成(アイデア出しからデバッグ、配布資料の印刷まで)を手伝ったのだが、TAをしてもらうのは、教えることで学んでほしいと思うので、あえてこちらからお金を払って、学生に勉強してもらうわけである(お金をもらうと、責任感も生まれるし)。

TAって就職活動のエントリーシートにも書けてアピールできるし(うちの研究室は院生全員に最低1つの科目のTAをやってもらっている)、せっかくの機会、もっと活用してもらえるとよいと思うのだけどな〜。