時間をかけたからこそ分かることもある

祝日であるが、いわゆる授業日というやつで、半期で15回の授業回数を確保しなければならないので、普通に授業がある。台風が来てまた授業が流れて補講をしなければならなくなるかとそわそわしていたが、杞憂であった。

授業は今日がガイダンスだったので、全体の進め方を説明し、TA に Git および Pythonチュートリアルをしてもらう。ぶっちゃけ Git(かなにかのバージョン管理システム)は学部2年生くらいで使い方を教えてしまい、そこからずっと使ってもらえばいいんじゃないかと思うのだが、なんかハードルがあるのかなぁ。インダストリアルアートコースが中心になっている演習やハッカソンでは学部1-2年生でもみんな GitHub を使うようなので、情報通信コースの学生が使えないということはないと思うのだが……。

午後は SLP(Speech and Language Processing という自然言語処理の教科書)の輪読。この勉強会、高間研究室のB4の学生も参加しているのだが、後期は進捗報告が厳しいので、研究に集中したいという話で、担当部分もうちの学生の再配分するから別にいいよ、と伝えたのだが、担当部分はきっちりやります、という話で、やってくれたのである。スライドを作ってくれていたせいか、ものすごい勢いで分かりやすく話が進み、すごくありがたい。

しかし、最初スライドを見ていたのだが、スライドを見ると読んだ記憶が残らないことに気づいたので、結局目は実際の本文を追って、耳で説明を聞く感じ。紙で見ているわけではないのだが、やはり実際のレイアウトがどうであったか、という手がかりは割と重要であって、あとで読み返したときに思い出せるのはスライドではなく本文なので、面倒でも本文を参照してしまうな(分かった気になりたいなら、スライドを見るのがお手軽なのだろうけど)。

台風が近づいていたので、勉強会は早めに切り上げ、研究の雑談をしたりする。自分はかっこいい研究ネタで一発狙うタイプではないので、「これやったらトップカンファレンス行けるよ」みたいな研究テーマのプールがあるわけではないのだが、データを見ていろいろ試行錯誤してそこから最大限できることを考える、というのは得意だと思うので、うまくいくかどうか分からなくてもとりあえずデータをダウンロードしていろいろ統計量を調べたり、特徴を見てみたりしてもらえると、おもしろい研究につながるアドバイスができる可能性が上がると思う。

すごい研究をしたい、と思う人も多いのかもしれないが、最初から目覚ましい研究成果が挙がったり(ビギナーズラックはある)、あるいは実験がことごとく全て成功したりするのは稀(むしろ常に成功している人は実験結果の操作が疑われる……)なので、大したことなさそう、と思っても、とりあえずすこし手を動かしてみる、というスタンスもありじゃないかな。やってみて数週間無駄にすることも往々にしてあるのだけど、やる前からいろいろ考えて手を動かさず数週間無駄にするより、手を動かして数週間無駄にするほうが、経験が残るのではないかと思うのだ(そのうち、やる前から「この実験は理屈から言って無駄」というようなことも腑に落ちるだろう)。

夕方は日本学生支援機構奨学金の推薦書を書く。こういう推薦書、なぜか Microsoft  Excel や Word で書かれていて、自動で改行してくれないフォーマットになっているじょとが多く、面倒くさい。しかし「別紙の通り」と書いて別紙ではフリーフォーマットにできる、という技を聞いたので、来年度からはそうしてみよう。個人ごとにポートフォリオというか閻魔帳というか、どういうことに取り組んできて何に興味があるか、というようなメモをまとめておいたほうがいいのだろうが、いまはメモが散らかっている……。