文部科学省と東大教授

午前中から今週2回目の統計数理研究所に行き、超高次元データ解析の数理基盤というワークショップに参加。ikumi-sさんの最近の AAAI や EMNLP で発表された話もお聞きできておもしろかった。こういうデータに内在する構造の研究、もう少し深追いしてみたいのだけどな〜。ときどきはこういう先端の研究を聞かないと、干上がってしまう。内容というよりは、最先端で研究をしているドキドキ感というか、独特の感覚を忘れないために、という感じであるが。

お昼ご飯を [twitter:@mrcarrot] くんたちと食べる。統数研の話というか総合研究大学院大学の話を聞く。大学院大学ということで自分はNAISTにいたときから総研大の存在は知っていたが、うちの学生は総研大って存在すら知らないんじゃなかろうか……。物理的にも近いし、もっと首都大と交流があってもいいかなと思ったりする。研究室内のSNSには国語研や統数研で開催されるワークショップやセミナーの案内を転送しているのだが、なかなか行く人がいない。もっとも、首都大では機械学習の研究をしている人もいないので、仕方ない気もするが……。

午後は帰宅して4月以降の準備やブレインストーミングをしたりする。結局来年度どうなっているかは現時点で正確に予測できることではないのだが、準備だけはやれる範囲でやっておこうかなと。ただ、様々なものが、新年度になってからでないと申請できず、ほとんどがペンディング

夜は「文部科学省」を読んでみる。Kindle版が半額近かったが、紙で購入していたので、紙の方を……。

自分のいるのは国立大学ではなく公立大学なので、文部科学省よりは自治体(東京都)の影響を強く受けるようだが、それでも文部科学省がどのような様子か分かっておもしろい。自分の同期で理2だったか理1だったかに入学したのに、霞ヶ関で権力を持つには文官で入らないといけない、とか言って行政職で国家公務員試験一種を受けて入省した人がいたが、そういう「官の論理」的なことが満載。ここまで書いて、官僚になりたい人が減ったりしないだろうか。いわゆる暴露本的な感じではなく、むしろ「文部省は非常にいい環境だった」というノスタルジー溢れるテイストで、自分などは好きな書き方なのだが、リスク回避型の若者は、こういう職場には行きたがらない気がするし……。

学部生のころは「産官学と言うが、科学史・科学哲学の研究をするなら、全部体験した方がいいのでは?」と思ってとりあえず工学で研究者になろうとしてみたわけだが、官の仕事はどうやら自分には難しそうな気がする。

あと、それに関して出たばかりの「東大教授」も読んでみた。

東大教授 (新潮新書)

東大教授 (新潮新書)

こちらも東大教授の仕事と、東大教授になるためのコツ(?)が書かれていたりして、おもしろい。東大の生産研の内規が書かれていたりして(たとえば講師は3年准教授は7年で昇任試験があり、合格すれば、ポストが空いたときに昇任する資格を得る、とか)、参考になったのだが、これってこういう公の場に書いていいことなんだろうか(汗) 

こっちの本も、自分はこういう語りが好きなので読んでいて楽しめるのだが、これを読んだら「教授を目指すのはやめよう」と思う学生もいるんじゃないかなぁ。本のトーンとしてはむしろ逆で、東大教授の裏表を率直に書くことで、東大教授を目指す人が増えてほしい、という狙いで、嫌らしいところはなく清々しいのではあるが。ただ、やはりなぜか「東大」教授を目指す人がいる(この本も、明確に「東大」教授を勧めている)、というのは個人的には違和感がある。

まあ、この日記も、読んで「大学教員になってこんな仕事をするなら、大学に残るのはやめておこう」と思う人もいるだろうけど……