言語処理に興味がある人は正規表現を学ぼう

朝起きて8時半に大学へ。9時から電話会議があったのである。時差があるのでこちらは朝9時、向こうは午後4時だったようだが、無事接続。話すのは初めてだったが、いろいろと教えてもらってありがたい。論文の査読はよく頼まれるが、論文の査読を頼む側になったのは一昨年からであり、まだ慣れていないのである。世の中の研究者のみなさんはこういうのを乗り越えて研究されているのかと思うと、頭が下がる思い。

昼は色々と年度末に向けた注文をしておく。現場残っている予算は2つだけなので、そんなに大変ではない。来年度は秘書さんをお願いできるかなぁ。学生室にスペースを作らないといけないけど……。

午後はTAの書類作成。ワークライフバランスの研究支援に採択してもらい、TA経費を出してもらえることになったのである。「ワークライフバランス支援」と言いながら、女性研究者だけ支援するのは、家事や育児の負担をするのは女性であるという前提があるし、もっと男性研究者を職場で支援して、男性も家で家事や育児ができるようにしたらよいと思うし、首都大はこの点進んでいる。

夕方はウェブ辞書検索で有名なウェブリオから manab-ki くんが企業説明会に来てくれた。manab-ki くんは NAIST 松本研の同期で、博士号も同時に取得した3人の中の1人である。彼はその後東工大の杉山研(日本でもっとも盛んに機械学習を研究している研究室の一つ)でポスドクを3年弱して、1年くらい前に転職して現在に至る。

マーケティング部」という部署がアノテーション(辞書や対訳作成)をしている、というのはおもしろい。実際自然言語処理で仕事をしようとすると、プログラムを書いて終わり、ということはほとんどなく、辞書やコーパスを作成することが不可欠であり、正社員が12人の会社で社内に専門のチーム(アルバイトやインターンを含む)を持っている、というのは興味深い。

最近学部教育をするようになったので、大学や大学院の授業で仕事に役立っているものはないか?と質問したのだが、特にないらしい(汗)以前 [twitter:@uchumik] さんと話していても思ったが、高専出身の人は、開発に必要な知識や心構えは大学に入る前に高専で全部身に付けているのかもしれない。まあ、都会にいる学生は、どっかの企業でアルバイトやインターンシップをするのが一番大きな学びにつながるのであろう。仕事に必要な知識は何かを知った上で授業を受けると、すんなり入っていくだろうしな〜。

説明会後、研究室の学生と manab-ki くんとで豊田駅周辺のうなぎ藤田というお店に行く。ここは以前から「大学の周りで接待するならうなぎの藤田か豆腐のうかい」と言われていたところで、確かにうなぎがおいしかった(自分が食べたのはうなぎの白焼きで、脂がほどよく乗っていて、わさびと一緒に食べるととろけるよう)。

社員の中で半分弱が博士号を持っているか博士後期課程を満期退学しているそうだが、研究開発職採用ページにも「ポスドクの方、大学院中退の方歓迎」と書かれている。仕事的には開発が多いだろうが、割と居心地はいいのではないかな?自然言語処理に開発に東京近郊在住の学生の人は、ウェブエンジニアのアルバイトも募集している言語学系の人はマーケティング部編集担当)そうなので、興味あればコンタクトを取ってみるとよいかも。「正規表現は、好きですか?」というのがアルバイト募集の標語らしい(笑)

先日クックパッドに行ったときも「正規表現をさくっと書ければアルバイトできる」と聞いたが、いまうちの情報通信コースでは正規表現をちゃんと教えていないようで、来年度からスタートする「オートマトンと言語理論」の授業(学部2年前期)ではちゃんと演習してもらおうと思った。

夜はBS日本テレビの「深層NEWS」(deep learning とは無関係)という1時間の番組で東ロボプロジェクト(人工知能で東大入試を突破する)の生放送。こんなにたっぷり時間を取った番組を見るのは初めてである。松崎さんが出てくるとのことで見てみたが、ほとんど喋ってなかった(笑)しかしテレビに「CCG parser」という文字列が出てきて感動。あれが最初で最後になるんじゃないかと思った。ちなみに松崎さんは中高の1年先輩であったようだ(言われてみると確かにそんな雰囲気……)。世界は狭いものである。「人工知能は花を摘むにもブルドーザーで取りに行くようなもの」というキャッチフレーズが分かりやすかった。今度何かのときの説明で使ってみよう。