学位論文はやっつけ仕事ではなく研究に愛情を込めて書いてほしい

今日は奈良で博士論文の最終審査。今年度NAISTに行くのは恐らく最後である。

午前中は溜まった仕事を片付ける。やってもやっても終わらない感があるが……。今日も妻がお弁当を持たせてくれたので、お弁当を食べたりする。

午後は移動しつつ博士論文に目を通す。一度(というか数度)見ているものであるが、分量が多いとなかなかチェックできないものである。論文の査読の返信レターのように、変更点を説明した文書と変更点をハイライトしたファイルがあるとよいのだが、恐らくオフィシャルには公聴会のときもらったのは単なるドラフトで、最終審査でもらったファイルで審査することになっているので、そこまでは求められないか……(結局最終審査のときどこを変えたのか説明してもらうことになるし)

適当なバスがなかったので、今日は大和西大寺で乗り換え、生駒経由で学研北生駒から歩いて大学へ。この道を歩くのも久しぶりである。修士で入学したときはまだこの駅が存在していなかったので、学園前か高の原からバスを使うしかなかったわけだが、歩いて駅に行けるだけで大きな進歩である(ちなみにNAISTから梅田に出る時間と首都大から東京に行く時間は恐らく同じくらい)。

最終審査はクローズドなので、ひっそりと終わる。1件目が非常にスムーズに終わったため、空き時間で30分ほど [twitter:@Nakamura_NAIST] 先生とお話ししたりする。@Nakamura_NAIST 先生くらいの立場になると、研究・教育は部下任せ、お金を取ってくるだけ、みたいな方もいらっしゃると思うのであるが、@Nakamura_NAIST 先生はちゃんと教育もされていて(他の研究室の学生の修論や博論でもしっかりコメントされていて)、すごいなぁと思う。自分も研究はともかく教育はしっかりしておきたい(学部教育だけで出ていく人が2-3割いるので、教育も重要)と思った。

研究に関しては一朝一夕ではないが、やはり研究のできる人を取り、地道に環境を整える、というのが「急がば回れ」なのかもな、と思う。研究できない人が研究室に来ると大変なので、ちょっと大変でもいい人が見つかるまで人数少なくてもがんばる、くらいで……。

2件目の最終審査はあっさりとは行かず。もうちょっとがんばれるんじゃないの?と思うのである。公聴会を12月にやっても3月までに博士論文の審査委員からOKが出ず、結局1年前後かかった、というのはよく聞くし(就職先が博士号の取得を条件とする場合は就職が延期になるし、逆に博士号の取得を条件としない場合は留年が認められないので満期退学になる)、博士号は修士号までと違うんじゃないかな。

最終審査のあと、松本先生のお部屋で小一時間ほどお話。今日は午前10時から午後6時までずっと修士論文と博士論文の審査だったそうで、さすがにお疲れの様子だが、研究の話になると楽しそうにお話されるので、自分もかくありたいものである。しかしタグ付けがしんどい、とこぼしてらして、松本先生がタグ付けをしんどいと思うなら、誰もタグ付けできませんし、気をしっかりもってください、と進言しておいた。あと学生が多過ぎる(嬉しい悲鳴)ので研究費を取り続けないと干上がってしまう、というお話で、うちの研究室ももしかすると同様の事態になるかもしれないので、少額でいいから複数年度もらえる研究費をもらえるように努力しよう、と思った。

夜は修士論文の最終発表と博士論文の最終審査が終わった人たちが打ち上げに誘ってくれて、東生駒の駅前の焼き鳥屋へ。11人くらい? 修士の人たちは、1年しか一緒にいられなかったけど、みんなしっかり研究しているなぁ、と頼もしい。同期や先輩が多いとこうやって節目節目で集まることができるので、連帯感が産まれていい。松本研は1研究室で40人以上いるから同期だけでも10人以上いるせいでもあるけど……。

首都大の情報通信はそもそも大学院の1学年が35人で、1研究室には多くて同期が4人くらいしかいないので、連帯感を醸し出せるのは同期のつながりというよりは研究室内の(学年を超えた)つながりかな。もっとも、学部から上がってくる人は4年間アットホームな形で学んでくるので、研究室が違ってもそんなに断絶があるわけではないのかも。そうすると問題は外部から大学院に入ってくる人かな。博士後期課程まで在籍するならいいけど、2年しかいないとあまり他の学生と仲良くなれないんじゃないかな?(NAISTでも、博士後期課程から入学する人は、研究室外に友人ができにくく、孤立しがちであるという問題があったので、修士号を持っていても修士から入学することを強くお勧めしている。必要があれば修士と博士をそれぞれ短期修了すればいいだけなので。)

しかしやっぱり研究の話ができるのは幸せなことだと思った。(修士)論文を書くと、少なくともそのテーマに関しては国内で一番詳しいくらいになるので、話していてこちらも勉強になるし、こういう場を首都大でも作っていければいいな。みなさん、お疲れさまでした!