新人を鍛えるためのカリキュラム

午前5時に起きてメール処理をするが、まだ喉が痛い……。いつになったら解放されるのだろう。

午前中、大学院の受験希望者の見学。今年に見学に来てくれた人たち、半分くらいが博士後期課程に進学希望で、残りの人たちも博士後期課程に進学する可能性も考えてなくはないそうで、去年までと違う印象。やはり実際に博士後期課程に在籍する人がいる、というのが大きいのだろうか。あるいは、NAIST 松本研が(松本先生がもう還暦で、残り5年を切ってしまったので)来年の修士の学生から博士号を取得するまで松本先生がいてくれない、という時期に差し掛かってしまったせいかもしれないが。

思えば、自分が NAIST に入学したとき、松本先生は年男とおっしゃっていたので48歳だったと思うが(松本先生の年齢なんて、入学前は意識したことなかったけど)、まだ50歳前だったので、自分もこうやって大学院生として5年間、教員になってから6年間を過ぎてもまだ現役でいらして、学会や研究会でお会いしたりもできるのだが、入学した瞬間指導教員が60歳だと、博士後期課程を出るときにはもう定年で、もしアカデミアに残ることがあっても、あまり相談に乗ってもらったりできないのだなぁ。

研究室の教員は教授だけではないので、教授が定年だからと敬遠するのはもったいないように思うが、博士後期課程は在籍中に指導教員が変わると(あるいは博士前期課程と博士後期課程で指導教員が変わると)よほど研究テーマに整合性があったり新しい指導教員や研究室と馬があったりしないと苦労するので、博士後期課程に進学するつもりの人が二の足を踏む、というのは分からなくもない。

午後は研究会。1学期の間に2回全体のゼミでの発表が回ってくるのだが、今日からちょうどその2周目である。読解支援勉強会は [twitter:@moguranosenshi] くんが B4 の4人それぞれに研究テーマを考えてあげて、週2回の勉強会では毎週全員進捗報告と論文紹介をするという「英才教育(←うちの研究室の M1 による表現)」をしているそうなのだが、どういう研究テーマに取り組むか、という研究テーマのお披露目会である(具体的な実験結果などについては勉強会の中で進捗報告がある)。

去年の反省点として、B4 の人たちは M1 の人と比べると(授業がないので)相対的に時間があるにも関わらず、特に研究をスタートしないのはもったいないし、自然言語処理のことも研究室に来て初めて勉強しているのに、自分でサーベイして新しい研究テーマを見つけろというのも酷なので、今年は夏休みまでは何かお題を与えてやってもらうことにしたのである。卒業研究として続けたければ秋以降も続けてもらえればいいし、一通り自然言語処理の全体像が見えてやりたいことが他にあれば別のことをやってもらう、というわけである。B4 の人たちのメンター役には一応 RA として研究室からお金を出していて、3人で学部生4人の面倒を分担してもらおうと思っていたのだが、さまざまな経緯により1人で4人全員見てくれているのである。

しかしながら、穴埋め問題の穴を埋めればいいだけ、という状況にしてあげるため、読むべき論文をリストアップしてあげたり、何日までにこれをすればよい、というスケジュールを切ってあげたり、すごいな……。これだけ用意すると、用意する方もやるほうもこれはこれで力がつくと思うし、教員としては大変助かるのだが、研究の仕込みで自分の研究時間を圧迫していないかと少々心配ではある。(とりあえず、RA は9月で一区切り)

自分が D1 のこの時期はちょうどアメリカにいた(Microsoft Research で3ヶ月のインターンシップをしていた)ので、むしろ TA も他の人にお任せして好き勝手やらせてもらった感がある。自分が NAIST 松本研でそうしてもらったように、彼もそういう日が来たら快く送り出してあげたいものである。

午後は論文紹介で、以下の論文を紹介してもらう。

  • S. Brody, N. Diakopoulos. Cooooooooooooooollllllllllllll!!!!!!!!!!!!!! Using Word Lengthening to Detect Sentiment in Microblogs. Proc of the 2011 Conference on Empirical Methods in Natural Language Processing, pages 562–570, 2011.

実はこの論文はNAIST 時代にも読んだことがあるので、論文の感想としては変わらない(クリティークしてくれた学生も、同じようなことを突っ込んでいた)のだが、この論文が NAIST 助教時代最後の勉強会の紹介論文であったということを知り、感慨深い。

集まる学生によって興味のある研究テーマは異なるのだが、うちの研究室、昨年度は深層学習、ウェブ応用(ソーシャルメディア解析)、情報抽出、機械翻訳といったあたりが複数人が興味を持っていたキーワードであったように思う(研究グループ、と言えるほど固まっていたのはウェブ応用グループだけだけど)。今も昔もウェブ応用が人気であったが、今年の研究室のキーワードは読解支援(言い換え)、機械翻訳、情報抽出、意味解析といった趣で、だいたい落ち着くところに落ち着いてきている気がする。進捗報告も今は適当にメンバーを2分割しているだけだが、秋以降は勉強会単位で進捗報告できるようになるかな?(勉強会を固定してしまうと、研究テーマがふわふわしている人がややこしいことになるのだが、複数の勉強会に出てもらう、という運用になる)