大学院で専門を変える人は相当の覚悟が必要

午前中は機械学習の基礎勉強会。対数線形モデル(最大エントロピー法)の回。3年生は4人全員来てくれているのに、うちの研究室の学生は5人中2人しか来ていない……。けっこう重要なところなんだけど、ちゃんと自分で読んでくれるかなぁ。

昼過ぎに定例の12月のコース会議。年内最後である。1時間半程度で終了。すばらしい。もっとも、コース会議は議論も含めて勉強になるので(教授陣はそうではないかもしれないが……)、2時間以上続いてもかまわないのだけど。年明けは臨時の会議が多いので、体調を崩さないようにしないと。

コース会議のあと、学内の委員会のお仕事。10分足らずで終了したが、小一時間ほど、首都大での研究・教育についてお話を伺ったりする。首都大の事情はほとんど知らないので、大変参考になる。(以下の話はけっこう省略して書かれている)

まず、南大沢キャンパスから日野キャンパスに来たことでけっこう学生の質が変わった(工学系でも電気電子なんかは南大沢のままで、そちらは変化なし)そうなのだが、キャンパスが動くだけで学生的には違うものなのだろうか……。もしキャンパスが変わることが原因なら、ほとんどの学部生が3年生になったら駒場から本郷に行かないといけない東大は困る気がするので、他の理由かなぁ。

また、そもそも数日やればできるので、かかって2週間やそこらで簡単にできるだろうと思って研究室の学生にやらせても、待てど暮らせど報告がなく、2ヶ月近く経ってしびれを切らして確認するとそうだった、ということが時々あるそうで、全然他人事ではない。自分の研究室は新しくできたばかりなので仕方ないと思っていたのだが、もう十年以上研究室を運営されていてそうだということは、やはり学生が変わってきているのかもしれない。

1ヶ月以上確認しないのがおかしい、もっと確認しないのか、という意見はもっともだが、自分からやりたいと言い出さないかぎり、あまり小まめに進捗を確認しないほうがいいと思うのである。自分自身、インターンをしていたときは毎週進捗報告をしていたが、毎週しないと進まないので、こちらからお願いしてミーティングを設定してもらっていたし。ただ、上記のような状況を考慮すると現状やむを得ないのかな?結局自分なりの仕事(研究なり開発なり)の進め方を身につけることが、研究室で学ぶべきことであるし、進め方を知らないなら、ひとまずほとんどの人が仕事をしているようにやってもらうのが、簡単かなぁと思うのだ。あ、「コアタイムは導入しても形骸化するので意味がない」と教えてくださったので、コアタイムは導入しないつもりだが(汗)

あと、内部から来る人はよくも悪くもどれくらいの能力か予想できるが、外部から来る人はどれくらいの能力か分からないので、来る前にちゃんと話を聞いておいたほうがよい、という話は勉強になる。受験生側も入りたいので「できます」「やりたいです」と言うが、入ってから「数学(or プログラミング)が苦手なのでできません」「本当にやりたかったのはこういうことです(とその研究室ではやっていないような研究テーマを話し出す)」と言うことがあるそうで、短時間しか話しを聞けないと本人の言うことを信じるしかないが、入ったあとが学生も教員もお互い非常に苦労するので、能力があるか、あるいはやる気があって死ぬほど努力する覚悟がありそうか、確認した方がよい、と。

自分は後者の「死ぬほど努力した」口だが、もうあれだけ猛勉強することはないと思うし、ほとんどの人はそこまで勉強する覚悟はないだろうし、やっぱりうちでは外から来る人は理工系以外はデフォルトではお断りモードで、相当の能力あるいは覚悟がある人だけ例外的にOK、という感じかな……。受け入れたいのは山々だが、大学院がたとえば微分積分線形代数やプログラミングを懇切丁寧に教えるようなコースになっていないし、自分の研究室でできることは時間的制約によって限られているので、非情報系から来る人はプログラミングを、非理工系から来る人はそれに加えて微分積分線形代数をある程度独学でなんとかできる人でないと厳しいのである。(研究科自体が受け入れ態勢を整えて変われば可能だし、長期的にはそちらに動いていくと思うのだが、数年でどうにかなる話ではない)

火曜日〆切のアルゴリズム演習課題の添削がようやく終わる。結局出し続けてくれた人たち(学年全体の6〜7割)は全員ほとんど指摘しなくてもよくなったので、毎週小まめにチェックした甲斐があった。今後どの授業を取るべきかも伝えたので、彼ら・彼女らが研究室に配属されるころには、(本当に履修しておいてくれていたら、だが……)だいぶやりやすくなっていることであろう。