魅力のある大学の教員を20年間続ける

奈良先端大松本研20周年記念ということで、NAISTに足を運ぶ。諸事情あってJR奈良駅からタクシー。5000円ちょっと。なぜか運転手の人がNAISTの近くに住んでらっしゃるそうで、30分ばかり、創設当時の話や大学周辺の事情についていろいろ聞いたりする。大学のあたりは有山一族の土地で、他所者を嫌う風土だとか……。高山竹林園のあたりに高山 (鷹山) 城という城もあったそうで、確かにそう言われてみるとあのあたりの独特な雰囲気も納得。学園前は近鉄の社長さんが住んでいて云々とか、楽しかったけど、社長さんの家を見せるためにわざわざ遠回りしなくてもいいのではなかろうか (汗)

シンポジウムのトークは松本研の現スタッフと旧スタッフで構成されていて、なぜか自分が現スタッフとして紹介されていて、旧スタッフじゃないんですか、と何回も確認したのだが、「3月までいたからいいじゃない」と現スタッフ扱いになってしまっているのであった。ちなみに自分の新所属は「首都大学東京」で、この名前が「東京首都大学」だとか「首都東京大学」などとよく間違われるのだが、「首都大学東京」が正しい名称である。専門的な話になるが、主辞は「東京」ではなく「大学」なので、やっぱり変。「首都大学大阪」とか作っていくつもりならいいけど。(橋下市長なら公募した上であえて「大阪都大学」などとつけるのだろうか)

シンポジウム自体は大講義室に松本研のOB/OGを中心に日本各地から100人近く集まり、大盛況である。卒業生が集まってくれる、というのはやっぱり松本先生の人柄とこの環境のよさが大きいだろう。NAISTによい思い出のある人しか来ない、というバイアスはあるだろうが、それでも200名近い対象者のうち半数近くが参加する会、というのはすごい参加率で、それだけ松本研が楽しい思い出になったのだと思う。(自分も松本先生の定年退職のパーティーには間違いなく来るだろう)

さてmポスターは在学生の研究発表だが、部屋の収容人数と比較して人が多すぎてなんとも言えない感じ。Costco のピザも一瞬でなくなる。妻を見失ってしまったので、いろいろ部屋を探したのだが、見当たらず (汗)

喧騒を離れ、エレベーターホールでまったりsatoru-t さんや hideto-k さんと、大学教員という仕事ってどうよ、Google のほうがいいんじゃないの、という話をする。自分自身、AppleYahoo!、NTT と比較して悩んだ時期もあるので、大学教員がそこまで万人に魅力的であると思っていないのだが、教員の仕事に魅力がないのは由々しき問題である、というのはむしろ satoru-t さんと hideto-k さんが強調してらっしゃったのが印象的であった。satoru-t さんが紹介してくれた、Harvard でテニュアを取ってようやく得たサバティカルで Google に来て、そのまま Harvard の教員を辞めた人のブログはこちらである。(アクセス数上位の記事のほうが見やすいかも)

自分としてはそんなに第一著者として論文をバリバリ書きたいわけではなく (バリバリ書きたい人は NTT CS 研や各種国立の研究所に行くだろう)、若い人たちと一緒に仕事をして世の中に送り出していきたい (最低2-3年はかかるプロセスなので、短いサイクルが好きな人には耐え難いであろう) ので、大学教員が一番合っているのかもな〜、と思って続けているのだが、華々しくはないし、増え続ける雑用を考えるとなんとも言えないものがある。

無茶苦茶優秀な人を助手にしてなし崩し的に教員としてのキャリア以外に行かれないようにする、という手も昔は使えたのであろうが、いまは助教は5年程度の任期付きが原則であるし、博士号がないとなれないので働き始められる時期も遅いし、公募が増えて就職の確約もできないし、若い人がこのキャリアを選びにくくなっているのだろうなとは思う。

夕方の懇親会はいろんな人が入り乱れる感じで、もはや収拾がつかない。一日ずっといて話すことができた人は半分もいただろうか……。圧倒的な時間の足りなさを感じる。まあ、自分としては nozomi-k さんと久しぶりに喋れたので満足である (謎) いろんな人たちから、せっかく東京に来たので学生さんを連れて遊びに来てください、とおっしゃってくださったので、そのうち夏休みあたりに?お邪魔するかもしれない :) 

そういえば、数年前は「社会科見学」と題して東京で開催された言語処理学会年次大会に合わせて毎日企業見学をお願いしていたのだが、東京在住だと別に学会に合わせなくてもいいというのは利点である。豊田からだと往復1,000円はかかるけど……

帰りは chitose-s さんに送ってもらい、乾先生、matuyosi さんという言論マップグループで京都行き近鉄線へ。日本酒を飲むとよく思い出すのだが、kmurakami さん、お元気だろうか。matuyosi さんから、地方国立大学のお話を聞き、首都圏公立大学のお話をする。自分もまだ来て4週間なのでいろいろ見えていないことも多いのだが、首都大はNAISTほどとは言わないが、割と恵まれた環境なのだろうとは思う。

帰りの新幹線、NEWSの人がいたらしいのだが、全く興味がないのでスルーしてしまった。自分自身、移動中やプライベートなときはそっとしておいてほしいし。むしろ、学部時代の卒論の指導教員 (岡本拓司先生) っぽい人を別の車両で見かけて、本人かどうか確認しようか迷ったくらいである。終電だと人が多いので、そういう人に出会いやすいのかもしれない。(いつもは人混みを避けて少し時間をずらしたひかりに乗るのだけど)