お盆休みのために10冊くらい買ってあった漫画を全部読んでしまった。コストパフォーマンス悪い。最近青空文庫の本を iPad でぼちぼちと読んでいるのだが、読みたい本がなかなか入っていない。普通の本も Kindle や iBooks で読める (買える) ようになるといいのだが、難しいかなぁ。
というわけで本屋で買った「就活は子どもに任せるな」
- 作者: 鈴木健介
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: 新書
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特に類書に見られないこの本の特色は、ふんだんに実例が書いてあるところ (本当の話か作り話か分からないが)。あと個人的に参考になったのは、就職活動のときの質問を大事にしなさい、という話。就職活動にかぎらず、質問する力というのは重要なのだが、なんとなく答えの想像がついている質問をしてしまいがちだったり、単に分からないところを聞くだけの質問になってしまったり、うまい質問をするのはなかなか難しい。たとえば
たとえば「最近興味を持ったことは?」との問いかけに対し、「資源エネルギーとエコエネルギーについて」と答えれば、一見まともな応答に聞こえるかもしれませんが、この答えは求められていないのです。
(引用者註: エントリーシートの)どの質問にも、隠されている大切な文言があります。
それは「応募した会社に関して」です。
「最近興味を持ったことは?」との問いかけは、「私どもの会社に対して最近興味を持ったことは?」と質問されているのが正しいのですから、「御社が見本市に出品されたエコエネルギー装置についてです」と答えるのが、問いに対する答え方になります。(pp.131-132)
ここまで相手に合わせて答えるのはなんか人工的な気がして気持ち悪いのだが、確かに相手に合わせて話す内容をちゃんと変えたほうがいい、というのは納得。別に就職活動の話でなくても、バックグラウンドの異なるいろんな人と話すときには、相手が分かりやすいように話すというのは基本だと思うし、面接だったら特にそうなのかもしれない。
また、以下の下りは特になるほどと思う。
「何かお聞きになりたいことはありませんか?」面接の最後に必ずこうした問いかけがあります。これは応募者に質問のチャンスを与えるのではありません。にもかかわらず多くの応募者が口にするのは、休みや給与、社会保障や待遇についてなのです。
(中略)
質問をするように言われたからといって、「採用していただける可能性がありますか?」と聞くのは愚の骨頂。
「私のスキルのどの部分を伸ばせば
会社に貢献できると評価してくださったのでしょうか」
「入社までに残された期間
どんな過ごし方をすれば適切なのか教えてください」
「新入社員に対する期待について
もう少しお考えを聞かせていただけませんでしょうか?」
とこのように入社を前提として問いかけるのです。
(中略)
質問は自分の権利確認ではなく、入社後の貢献についての確認を多くしてください。
こうした質問をする人は、自分で「職場を好きになろう」「楽しい職場にしよう」との意識が根底にありますから、採用する側は OK の決断をしやすいのです。(pp.187-191)
自分も某社に対して就職活動をしていたとき、人事の人に自分の権利確認ばかりしていたような気がするし、それでいろいろと OK の決断がしにくくなってしまったのかなぁと反省してみたり。(とはいえ技術とも研究とも関係ない人事の人相手に「どのように過ごせば」とか「どんなスキルを」とか聞いても仕方ない気もするが。)
就職活動だけではなく、学部生なら大学院の入試の面接や入試前の研究室訪問のときを想定して読んでもらえるといいと思うし、いろいろと応用範囲は広い話だと思うのだが、冒頭にも書いたように、この本の致命的な欠陥は、売る対象を間違えているところかなぁ。もったいない。