本のプロの売り手との間の信頼関係

お盆最終日。道路が混んでいるかと思って裏道から高の原へ。そんなに混んでなかったので普通の道でよかったような気がする。

いろいろあって京都駅まで見送り、京都のイオンモールへ。いつも来よう来ようと思っていてそのまま帰ってしまうのだ。

とはいえ、別にそこまで用事があるわけではないので、大垣書店というイオンモールの中に入っている70万冊蔵書があるという本屋へ。

期待した割には、単に売れ筋の本を置き、ストックを揃えましたというだけの作りでがっかり。店員さんの推薦の言葉つきの本とか、「この本あまり知られていないけど、いい本なので手に取ってみてください!」というような思いが全然感じられない。売れ筋ランキングなんてオンラインで見ればすぐ分かるし、ストックが普通の店にないような本ならオンライン書店で注文すればいいだけだし、リアル本屋に来る醍醐味って、プロとしての本の売り手の目利きだと思うのだけど……。(レジ打ちの人たちもアルバイトのようで手際悪いし、そういうものはここに求めてはいけないということか)

同じ本屋としては半分くらいのサイズだが、奈良ビブレの啓林堂のほうがいい本揃えている。スペースがあったら置けばいいってものではなく、限られたスペースで何を置くかが腕の見せ所である。そういう意味では大垣書店にはもう来ないと思う。

そういえば奈良では生駒駅前のジャパンブックスという本屋の漫画コーナーが秀逸で、毎回ここのお勧め漫画にはうならされており (外すこともあるが)、「こんな本あるんだ」と全く知らないところから攻めてくるので、毎季節ごとくらいに足を運びたくなる。

最近ここのお勧めで買ってみておもしろかったのは「まんがの作り方」

まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)

まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)

である。作風は志村貴子に似ていて (というか似すぎているが)、内容はよく言えばあっさり、悪く言えば空疎な感じで賛否両論だと思うが、3巻くらいまで来ると各キャラクターの個性が出てきておもしろい。1巻と2巻の前半くらいまでは (百合っぽい話になる理由を延々説明されるのは……) 読むのがつらかったが、そこを乗り切れば漫画を書くときの才能の違いとか、錯綜する人間模様とか、けっこう読んで楽しめる (ラブ) コメディである。ちなみに3巻は奈良編で、せんとくんも出てくるので、奈良県にゆかりのある人はチェック (笑) 

最近オンラインだと読者のリビューが見られたりして、これはこれで助かったりすることもあるし、参考にもなるのだが、やっぱり本を売るプロとしての本屋の人たちの本気を見たいと思うのである。たとえば本代が1割くらい高くても、そういう楽しい読書体験をさせてくれるなら、喜んで払うんだけどなぁ。最近は本自体の値段より、その本を読むのにかかる時間のほうが貴重であり (時給換算すると大概の本は購入価格より読むのにかかった時間から計算した給料のほうが高い)、手軽に読めて (買った帰りに喫茶店で読めるくらいの……そんな本ばかり読んでいるので最近小町は軟弱になったというお叱りをいただくこともあるが……) おもしろい本を教えてくれる場所、ないかなぁ。