描写がおもしろかったので寝る前毎日ちびちび読んでいたのだが、しばらく前に読み終わったので、忘れないうちに。
- 作者: フィリップ・デルヴス・ブロートン,岩瀬大輔,吉澤康子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2009/05/21
- メディア: 単行本
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これはハーバードビジネススクールで MBA を学ぶというのはどういうことか、入学前から卒業までを描いた一冊なのだが、著者は割と冷静にビジネススクールを見ているので、MBA 礼賛の人にはちょっと気分が悪いかもしれないが、一般的な感覚からしたらビジネススクールで行われていることは馬鹿馬鹿しいと思うというのは納得。たぶん、これはビジネススクールだけのせいではなく、それを受け入れる業界のせいでもあると思うのだが。
会社は高額な給料を払ってくれるが、きみの生活のすべてを奪い去る。[...]独身で入社したはずっと独身だし、既婚者として入社したものは離婚する羽目になる[...]
「連中は家族持ちの社員を支援しているようなふりをするが、不況になったとたんまず切られるのは家族持ちの社員なんだ」
[...]良いところと言えば、この煉獄にいる同僚たちはたいてい知的で話が合うことかな、と彼らは口をそろえた。
「家族と仕事どっちが大事なの?!」と問われたとき、「仕事」と答えたらそこで話は終了だし、「家族」と答えたらその仕事は辞めざるをえないわけで、恐らく正解は「どちらも大切」なんだろうが、ここで「家族」を選択することが(タテマエ上でも)不可能だというのが、「不幸な人間の製造工場」たる所以だろう。
ちょっとネタバレになるのであまり詳しく書かないが、第13章はまるまる Google のマーケティング(+営業)採用に応募した顛末を書いており、MBA から Google に就職する人がどのような人たちで、どういう仕事をしていて、採用プロセスはどのようになっている(入社希望者をどのように扱う)のか書かれているので、書店で見かけたらそこだけでも読んでみるといいと思う。この章はビジネススクールの狂気についてあまり書かれていないし(笑)