3年後にできるようになっていることを想像する能力

毎週のことだが、午前中は機械学習の基礎勉強会。始める前にの学外の人からの意見は「簡単すぎるのでは?」というものだったが、うちはこれくらいがちょうどよいようだ。そもそも自然言語処理はおろか機械学習の授業もないし、パターン認識や最適化数学の授業も3年生の後期に配当されているのでほとんどの人が履修していないし。あとは1-2年生で履修しないといけない離散数学の授業かなぁ。離散数学は情報系では極めて重要な科目なのだが、そもそも将来何を専攻するか分からないのに、(情報系でも通信系でも必須の)微分積分線形代数以外の数学科目を履修する、というのは難易度が高い。

来年は学部2年生向けにオートマトンと言語理論(形式言語)の授業をやることになりそうだが、この授業を受けないで研究室に入ってくる人たちのために、来年度の前期は研究室内で離散数学の基礎勉強会をしたほうがいいのかも?

お昼を挟んで午後はプロジェクト演習。MATLAB のライセンスが届いたので MacBook Air にインストールしてもらったり、MacPorts のセットアップや OpenCV のインストールをしてもらったり。自分がかなり面倒を見る必要があるのかと思いきや、ほとんどは助教の先生が面倒を見てくれるらしい。とりあえず授業時間中は質問のある可能性があるので、待機している必要はあるだろうが……。

夕方にM1の学生さん2人の期末評価に参加。首都大の情報通信では、大学院生は半年ごとに他研究室の教員の前で進捗報告をすることが必要なのである。2人とも留学生だったせいか、まだM1だからか、発表自体に慣れていない感じ(時間が決まっているのに大幅に超過してしまったりとか)。うちの研究室もちゃんと定期的に対外発表して、それぞれの前に発表練習をするようにしないとなぁ。

研究室のサーバからログアウトするのを忘れていたので一旦戻り、少し雑談。就職について話したり。最近読んだ「就活って何だ  人事部長から学生へ」がおもしろかった。

Amazon のレビューでは学生から酷評されているが、実際大企業の人事部の部長が採用基準について語っているので、採用側の視点から読むとおもしろい、ということなのだろう。まあ、即効性のある話ではないので、答えを性急に求める就活生からすると「こんな本、役に立たない」と思うのだろうが……(ちょっとさびしい)。

結局大学3年生になってからこういう本を読んでも手遅れで、1年生かせいぜい2年生くらいまでに読んでいないと自分の就職活動には活用できないし、それを過ぎたら自分が誰かを採用する側に回ったときにじわじわと書かれていることの内容が分かると思われるので、そんなに即効性を求めなくていいのでは、と思ったりした。

相撲には「三年先の稽古」という言葉があるそうで、今日稽古したことがすぐ明日に生きるわけではなく、3年後に効果が出てくるものだから、たゆまず努力しなさい、という意味らしいのだが、自分も全く同感で、いまできないことでも3年かけて努力すれば、不可能に見えたこともできるようになっていたりするので、目に見える効果ばかりを追うのではなく、地道にコツコツと取り組むのがよいと思う。