超低頻度の事象を追いかけて

NAIST図書館に行って本を返したら、「津波災害」という

津波災害――減災社会を築く (岩波新書)

津波災害――減災社会を築く (岩波新書)

イムリーな本が岩波新書であったので借りて読む。2010年12月出版らしいが、なんとまあ。いろんな文明が津波で滅んだという例が描かれていて興味深い。シアトルも500年周期で大津波が来ているらしいが、もし仮に住むとしたら大丈夫だろうか(レドモンドは大丈夫だろうけど)。こういう本がちょうど大震災の前に出ているというのは因果なものである。(たぶんこういうイベントでもなければ、そんなに読まれなかったであろうトピックだと思うし) 

中で「地震津波は人間が生きるサイクルより長い周期で来るので、人間は忘れてしまう。「こんな災害は想定していなかった」という声が聞かれるが、津波は前例に従ってはいけない」という話があり、納得。超低頻度の事象があるとき、そのごく稀な事象を捉えるには、普通のやり方ではいけないのだ、というのは、もしかすると言語現象でも同じことなのかもしれない。(言語現象だと、超低頻度で起きる事象はあまり重大ではないのかもしれないが……)

あと本屋に行ったら並んでいた羽生の

40歳からの適応力 (扶桑社新書)

40歳からの適応力 (扶桑社新書)

もタイトルに引かれて読んでみたが、これは先日出た「大局観」とほとんど内容が被っている。「大局観」のほうがちゃんと推敲されていていい本。言いたいことは同じで、引用している本なり人なりが違うだけ。さすがにこれはどうかと思う。こちらの新しい本は語り起こしかどうか分からないが、話が散発的に並んでいるたげで、あまり推敲されていない感じ。しばらく本を出すのを止めて充電してくれたほうが、書く方も読む方もしあわせなのではなかろうか。