Google に倫理委員を設置する

朝、プールかスーパー銭湯に行こうと思ったが、そのような気力がなく、11時になってから娘が「サミットに行きたい」と言うので三輪車に乗って出発。まだ三輪車をこげないのだが、ハンドル操作とペダルの操作を別々に練習するといいというアドバイスを受けてハンドル操作だけやってもらったところ、楽しく操作していたようでなにより。結局サミットに行く途中の公園でジャングルジムに登ったり、砂場で遊んだりして、サミットには寄らずに戻ってきたが……(1時間半)。

午後は Skype 会議。1ヶ月以上かけて(2ヶ月くらいかかって?)なんとか論文を1本読み終える。自分もすぐ読めない類の論文で、博士後期課程のころはこうやって時間をかけて読んでいたので、こうやってコツコツと読んでいるのが実は自分の力になるというのは実感としてあるので、こういう勉強会もいいのではないかなと思ったりする。(研究室ではあまり時間がかかるような論文を読んでいないが)

そういえば先日読んだ羽生善治人工知能の核心」がとてもおもしろかった。

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

羽生がこんなに人工知能について理解しているというのは驚異的で、かつこんな本を書くほど時間を使ってくれているというのは本当にありがたいことだと思うが、おもしろいのは余談の方で、たとえば AlphaGo を開発した DeepMindGoogle に買収されるのを受諾する条件として、Google に倫理・安全委員会の設置を求めた、などという話とか、論文を今でも大量に読むという話とか。

AlphaGo といえば世界最強と言われる棋士と対戦して三連勝し、引退を宣言したというニュースが出ていたが、囲碁は人間がコンピュータから学ぶという新しい局面に入ったようで、20年前「コンピュータ囲碁は人間のプロどころかアマ高段者もあやしい」などと思われていたのがもはや異世界のように感じる。先日の情熱大陸のコンピュータ将棋の話でも「手筋や定跡を外せば外すほど強くなる(意訳)」という話が出ていて、ちょうど音声認識"Every time I fire a linguist, the performance of the speech recognizer goes up." と言われていたのと同じようなことが、コンピュータ将棋、コンピュータ囲碁でもあるのだろうな、と思ったりする。

佐藤天彦「理想を現実にする力」は逆に期待外れ。

理想を現実にする力 (朝日新書)

理想を現実にする力 (朝日新書)

読みでがあったのはプロ棋士になる前の話で、奨励会をどのように抜けたか、というような苦労話は興味深かったが、プロ棋士になってからの話は見所が特にない。せっかくいいタイミングに出た書籍だったのに、もったいないことである。