有給の時季の指定がされていた

本日は有給休暇。理事長名で時季指定で有給休暇を取れという命令が出ているという、不思議な日である。というのも、年間5日間は有給休暇を取らないといけないことになっていて、9月末の時点でまだ4日間しか取得しておらず、12月28日は保育園の忘年会の日になっていて、まあ仕事を入れないことにしようか(博士論文の審査とかこの日に入って出勤しないといけないことになると面倒なので)、と思って入れていたら、それを改めて時季指定された、という経緯である。本当は下の子のインフルエンザの予防接種も入れていたのだが、下の子は今日も病児保育なので予防接種はキャンセルした(保育園の忘年会もキャンセルされている)。

とはいうものの、結局兼業も含めて色々仕事をすることになり、午前と午後で合計6.5時間働いていたので、在宅勤務の日とあまり変わらなかった。言語処理学会年次大会の原稿も4件、合計4時間コメントを入れたり。これまでの経験上、年末年始にはほとんど仕事ができないので、ここでやっておくしかないのである……。

せっかく有給なので、と思って昨日に開催された明治大学中村研究室の研究室運営についての紹介を Zoom の録画で見る。中央線沿線で教員1名、子育て中かつ学生が30人くらいいる、というわけで色々と環境が似ているので、これまでも色々と参考にさせてもらっているのだが、女子学生4人がそれぞれ中村研究室と明治大学総合数理学部 先端メディアサイエンス学科の魅力の紹介をしてくれて、えっ大学って1年生からこんな楽しそうなところだったの?と若干カルチャーショックを受ける(自分の学部時代は1年生から基本的には楽しくない環境で、3年生になる頃ようやく楽しくなってきたか、みたいな感じだったので)。しかしこれ、学科の先生方がものすごく教育について思いを巡らせて環境を整えているのだな、ということが非常によく分かり、学科内の一部の教員だけ教育について色々考えていても難しいな、ということも同時に思い知らされる。

都立大の経験から、1年生からちゃんと学生主体で学びの環境を作るのが大事(教務の仕事)だ、ということと、そもそもそういうのにシンパシーや適性のある学生に入学してもらうのが重要(広報や入試の仕事)だ、というのを今は考えているのだが、自分がその仕事に就いている間は少しずつ改善できるとはいえ、他の人がその仕事に就いている間はほぼ現状維持になるし、都立大では色々なことが世の中の1/3のスピードで動いていて(何かを変えようと思うと1年かけて根回しして提案し、1年かけて先回りして試験運用し、1年かけて本運用してようやく手離れ、みたいな感じ)、これで外と足並みを揃えるのは厳しいと思うのである。ガラパゴス的に独自性を出す方向に行くなら行くでいいと思うのだが、そういう訳でもないし……。ポジティブに考えると、世の中の1/3の速度で動いていても学内では特に何ら問題を感じないし、むしろ世の中の1/2くらいの速度で動くくらいでもまだ速い方だし、中にいる分には学生も教員もとても居心地が良いので、ある意味桃源郷(あるいは竜宮城)にでもいる感じである。

しかし異動が極めて少ない教員はともかく、学生はそのうち卒業して外に行かないといけないわけで、そういう時に切磋琢磨して外界と繋がっていてものすごくアクティビティの高い明治大の学生さんたちと比べると、ちょっともう少しなんとかした方がいいのでは、と思わざるを得ないが、どうしたらいいんだろうなあ。ちなみに都立大の教員は、助教から教授までみんなかなり長い間在籍していて、3年前後で助教が入れ替わったり、准教授も割とホイホイ転出していた NAIST と比べると、ほとんど出入りがない印象。NAIST では自分が学生から助教まで8年間いて、教授から教授に横滑りで転出したのは石井先生(京大に転出)と関先生(名大に転出)だけだったように思う。関先生については定年まで NAIST にいらっしゃるのかと思っていたので、びっくりしたものである。うちの学科でも、池井先生は教授でも前のコースでは助教が取れなかったのがうちの学科では取れるようになり(都立大だと教授にも2種類あって、助教が1名採用できる教授と、助教を採用する権限はなく単騎で研究室を運営する教授がいる)、定年までいらっしゃるのかと思ったら東大に特任教授で転出され、驚いたものであるが、大学教員という仕事は心機一転して新しい研究に取り組んだりするきっかけが必要なので、時々サバティカルを取得したり、職場を変わるのはいいことだと思う。