高一に Google Colab は無茶だった

連休明けの仕事として、午前中は企業との共同研究のオンラインミーティング。例年だとこれくらいの時期には実験結果が揃っているのだが、新型コロナウイルスの影響で例年よりスタートが遅かったので、次回くらいまでになんとなく揃っている、くらいのスケジュール感。いつも言語処理学会年次大会の発表をするかしないかでバタバタするので、早めに実験結果があるに越したことはないのだが……。

午後は高大連携のお仕事で、とある県立高校の1年生を相手にニューラル機械翻訳の演習を3時間する。そもそも自分にこういう仕事が回ってくる回数が多すぎるので、調整してほしいと常日頃思っているのだが、今年度はサバティカルを取得する予定で仕事を減らしてもらっていたところ、サバティカルを取らなくなったので、少しは引き受けるべきかなと思って引き受けたのである(そもそも昨年度まではコース内でこういうのをやる件数の最頻値は0件のところ、自分だけ毎年2-3件やっていたし、来年度は引き受けるつもりはないが)。

この演習、最初は(南大沢キャンパスまたは日野キャンパスで)対面で、という希望だったのだが、この状況下対面は厳しい、ということでオンラインにしてもらった。オンラインでも、最初は高校の1教室に集合して(プロジェクターにこちらの画面を投影して)受ける、というスタイルを想定されていたようだが、基本的には各人が家からつなぐ(大学のオンライン授業を受けるのと同じ)、というスタイルにさせてもらった。そもそもキャンパスに来てもらってもゲストが使える端末がなく、簡単に演習をしてもらうことができないので。本当は、演習ではなく講義の方がいいと思ったのだが、先方のたっての願いで演習というスタイルになった。

内容的には以前都立高校の生徒たち(高1-3)を相手に3日間(3コマx3日)でやった内容を2コマでやることになったので、かなり説明を飛ばしたり端折ったりする必要があり、しかも高校1年生が相手だったので、あまり意味のある演習になったかどうか分からない。ちなみに全員「ベクトル」という単語は聞いたことがあるが、「微分」という単語を聞いたことかない生徒が3割で、「Python で Hello, World! が表示できる」という文の意味が分からない生徒が3割。ちなみにこれは事前課題で Chainer チュートリアルを見ながら Google Colab で Hello, World! を出力できるところまでできればやっておいて、と指示を出しておいたので、3割の学生はそもそも事前課題ができなかった、ということである。プログラミングについてノーインストラクションでやる、という方が無茶な話なので、これ自体はこちらのせいでもあるが……。

結局 Google Colab で動かすのは各自興味がある人だけ事後にやってもらうことにして、こちらで出力結果を Google Spreadsheet で共有し、見てもらうという形に変更(Google アカウントは全員使えるようにしてもらっているので)。そして、Zoom のブレイクアウトルームでグループディスカッションをしてもらってから全体にフィードバックしてもらう、という形にしたのだが、生徒たちの感想では、このブレイクアウトルームが意外にも好評だった。同じクラスの人たちとは話すけど、違うクラスの人たちとはあまり話す機会がなかったから(高1かつコロナ禍のため)、ということだそうだが、それならもう少し長めに時間を取ってあげてもよかったな、と反省。

高校1年生のこの時期だとまだ文系理系に分かれていないので、そういう意味ではこういうトークをする価値はあると思うのだが、これで情報系に来たいと思う生徒が増えるかどうかというと自分は懐疑的なので(すでに情報系に来ようと思っている生徒にとっては意味があると思うのだが)、ちょっといまいちだったかもしれない。演習のあと、授業に関係ない質問を受けたら、割とそちらはいくつも質問が出てきていたので、そもそも演習を生徒は希望していなかったような気がするし、次にこういう機会があったら、演習をするならもう少し長めの時間を確保してもらうことにして、1-2コマだったら講義(ただしインタラクティブにする)というスタイルにさせてもらおう。

ちなみに高大接続の担当の方にお伺いしたところ、別の出前授業では同じく Zoom を使って高校生に授業をしたが、講師の家と高大接続室(大学)と高校の教室の3点を結んだだけなのに、(恐らく高校側の)ネットワークトラブルで困った、という話だったので、各人が家からつなぐ形式の方が、トラブルが発生しても問題を局所化できるのではないか、と思ったりする。