研究の仕事における重み付け

午前中は秘書さんの出勤日だったので、ひたすら書類を片付けてもらう。1月に続き2月も出勤してもらうのは珍しいが、逆に3月の出勤はなし、ということで、今年度も6回の出勤で全部仕事を終えていただいて、本当に助かっている。来年度は自分がサバティカルなのでとりあえず一区切りすることになるが、感謝、感謝である。

その裏で自分は進捗報告を3件聞いたりするが、色々話すことが多くて盛り沢山であった。COLING が今年もシングルカラムであることを知る(その割には short 4ページ、long 9ページで、short は図表を入れたら絶望的に書けない気がする)。

昼は南大沢に移動して教員養成カリキュラム委員会に出る。この委員会、あまりやることはないのだが、年に3-4回南大沢に行って委員会に出ないといけないのである。教職を取ろうとしている学生がどういう学生で、大学としてどういう指導をしているのか、ということが分かるよい機会である。

ただし、自分はもともと高校教員になりたかったというのもあり、頑張って情報科学科では教職が取れるように残した(書類を準備するのがかなり大変だった)のだが、うちの学部(学科)は教職を取る学生がとても少ない(1学年50人いて、平均的に年1人)ので、そこまでのエフォートを他の人にも割いていただくのも申し訳ないし(可能な限り少ないコストで運用できるようにしたつもりだが)、今後もこれくらいの履修者しかいないのであれば、将来的にはどこかのタイミングで廃止することも検討した方がいいのだろうな、と思ったりしている。実際、隣の電子情報システム工学科を含め、システムデザイン学部の他の学科は全て教職は取りやめたので、教員的な負担はゼロになっている。もっとも、学生的には情報科学科以外に入ると教職が一切履修できず、これは2年前までの「システムデザイン学科」という1学科コースのときはどのコースの学生も教職が履修できた(情報通信システムコース以外は、履修者がいるコースの教員だけ参加すればよかった)のと対照的であるが……(アートコースや知能機械コースに時々教職の履修者がいた)。

午後はまず年報の入力。この大学のウェブ年報なのだが、学内からしかアクセスできないのは別に構わないのだが、日野キャンパスのネットワークからしかアクセスできない(大学の VPN ではダメ)というのが最悪。あとこれは大学の書類あるあるだが、ウェブで毎年入力するこれとは別に Word で業績を出させたりするのもあって、どちらかに統一してほしい(Word の方が無駄だと思うので、廃止してほしい)。researchmap は使いたくないが、どうしても使えと言うならウェブ年報と連動して欲しい……

次に TA の依頼。情報科学科になったので、演習・実験内容はプログラミング関係がメインになり(情報通信システムコースのときは演習・実験のプログラミング成分は1/2以下だった)、これまでは四苦八苦して TA を集めねばならなかったが、今年はスムーズに学生が立候補してくれて、楽である(むしろやりたい人が多くて困った授業もある)。情報通信システムコースの TA の問題は、通信系の学生は大学院に進学する学生が少ない一方、情報系の学生は大学院に進学する学生が多かったのだが、実験のテーマは通信系と情報系と半々だったので、情報系の院生が通信系のテーマの TA に手を挙げず残ってしまう、というものだったのである(これ以外にも、半期の TA を前半と後半に分割して負担感を減らしたりしたのも効果があるのかもしれないが)。

最後は学会の賞の審査など。最近は学会にほとんど現地参加はしていないのだが、投稿する学会の仕事は引き受けることにしているので、粛々とコメントを入力したりする。学内の他研究室(別の分野)の学生の教育は残念ながらあまり頑張るべきではない(それをする時間があるなら自分の研究室の学生の面倒をしっかり見なさいという)ことが分かったので(教授陣がそういう行動原理で動いているのは薄々気づいていたが、准教授陣は割合そうではなく他研究室の学生のポスターでも聞いてコメントしたりしている人も少なくなかった)、それなら学外の同じ分野の発展に時間を使った方がいいと思ったからである(時間が無限にあれば両方やりたいのだが、時間は有限なので仕事中の時間配分の重みを変えたということ)。

本学のような環境だと、大学、学部、学科の学生を(自分の研究室の学生じゃなくても)みんなで鍛えた方が(回り回って自分の研究室に来る学生も含めてレベルが上がって)いいんじゃないかと思っていたのだが、それより自分の研究室の学生に全ての資源を集中してトップクラスの研究をして注目を浴びることでいい学生が来てくれてよい循環につながる、という戦略だと理解しており、それはそれで一つの見識(ポリシー)であると思うし、学科がそういう方針ならそれはそれでいいと思う。確かに情報科学科になって入ってくるのは明らかに優秀な学生が増えたし、これまでのように手取り足取り教えなくても自分で勝手にどんどん進める学生も目立つようになってきたので、情報科学科にはこちらの方が合っているのかもしれない(どんどん NAIST に雰囲気が似てきた)。