組み立てを自分でやると愛着が

朝は論文誌のメタ査読をする。学会の仕事を少し減らさないと厳しいのだが、育児関係で減らしてもらっているので助かっている。

昼から言語処理学会年次大会の進捗報告を聞く。原稿がどれくらいできているのかを確認する会だが、毎年少しずつスケジュールを最適化しているので、この段階でだいたいあと縮めればいいだけになっている人もちらほら。来年からはまたやり方を少し変えようと思っている(必ずしも言語処理学会年次大会に投稿してから国際会議に出すのではなく、先に国際会議に投稿し、必ずしも日本で発表することを重視しないようにシフトしてきたい)のだが、学部生が学会デビューするには最適な場所なので、今後も両手で数えるくらいは投稿するだろう。

午後は高間研の計算機の説明会。今年度は高間研・山口研・うちの3研究室の共同利用ということで500万弱のサーバ(クラスタ)を購入させてもらい、高間研で設定をしてもらっていて、それが利用可能になったということで連絡をいただいたのである。同じ共同利用サーバでも、昨年度に購入したサーバは2019年も後半になってから利用許可をもらったはいいものの、うちの学生が利用するのは都度使用期間等の申請が必要だったり、実質的に購入した研究室が使っているため(たくさんメモリがないと動かないモデルがあったときに使わせてもらえるのはありがたいし、日常的に使うというよりはそういう目的で連名に入ったのでそれはそれでいいのだが)、あまり使い勝手がよろしくないので、こうやって実際に使える形で共同利用させてもらえるのはありがたい。

学内での共用なので、もっとゆるい感じかなと思いきや、VPN の設定をしたり ssh の鍵を登録したりと本格的(それぞれの鍵も、学内のネットワーク等を経由せずに渡す)。物理的にサーバにアクセスできたらなんでもできてしまうから、あまりここガチガチにしても意味ないと思っているが、暗号理論についてもうちの研究室の学生にレクチャーしていただいたりして、たいへん教育的でよいことである(B3 の「情報理論」の授業で最後の1コマを暗号理論の話をしているのだが、学生たちは覚えていないようである)。うちの研究室はアカウントの管理は QNAP の LDAP でやっているので、1回作れば全てのサーバに入れるようになるのだが(DMZ に置かれているウェブサーバのアカウントは別管理)、これがベストなのかどうかは不明である。本当は大学の計算機センターにシングルサインオン環境を提供してほしいのだが……。

で、高間研のクラスタ群、GPU を刺すスロットが空いているということで、うちの研究室で余っていた GTX TITAN X を2枚と GTX 1080 Ti 4枚を進呈する(この GPU は空いていれば他研究室の人も使っていいが、優先的にうちの研究室の学生が使わせてもらえるという形で)。山口研にもうちで使わなくなった GPU を2枚差し上げたし、こうやって余剰機材の有効活用ができて何よりである。うちの研究室のサーバ群はサーバ室にあるのだが、ここ電力の制約が強くて30枚内外の GPU しか設置できないため、こうやってサーバ室外の電源を使わせてもらえるのもありがたい。昨年度から、新しい GPU に入れ替えるごとに古いのを抜いているのである。結局今年度は旅費がかさんだので、GPU は2枚しか新しいものを買わなかったのである。あと、うちの研究室の B4 を2人サーバの設定に立ち合わせてもらったが、PC の組み立ても経験したことがない学生がいて、GPU の挿し方から教わっていたので、これも大変教育的ですばらしい(高間研は研究室配属された学生には1人1台 PC を渡して、自分で組み立てて OS のインストールをしてセットアップするところまでやらせると聞いていたが)。高間研のよいところをたくさん見させてもらった。

夕方は企業の方とのミーティング。研究室のページにも書いているが、共同研究になるかどうかは最終的に論文を書くというゴールが共有できるかどうかに依存していて、これを共有できない場合は共同研究というフォーマットにするのはあまりよくないと思うので、最近は受託研究あるいは技術相談(あるいはアルバイトの斡旋)という形にさせてもらっている(具体的には、論文を書くという形だと1年で成果を出すのは難しいので、複数年度にわたって契約を結ぶことが可能な場合でない限り、基本的には共同研究のフォーマットにはしていない)。逆に言うと、目立った成果が出なくても色々試して知見が得られればいい、というケースであれば、広く共同研究として受けているのだけど(以前は問い合わせの数が多かったので直接の知り合いか、あるいは知っている人の紹介等に絞っていたが、最近はそもそも上記の条件を飲んでいただける共同研究の問い合わせが多くないので、特に絞ることは止めている)。