午前中は受託研究の定例ミーティング。エラーを見つけて改善したい、という話だが、デバッグが難しい。バグなのかそれとも正しく動いていて精度が出ないのか、よく分からない(汗)とりあえず今年度はこの結果で一区切りしたいのだが、来年度があるとしたらどこを改善すればいいのかみたいなのが分かるといいのだけど。
お昼は冬季受験の希望者と面談。基本的には冬季受験は認めていないのだが、社会人や人文系の学生、留学生に関しては定員が許せば例外的に認めるという方針にしている。ただ、今年度は定員が許すかどうかが分からないので、なんとも言えない。すでに4人問い合わせをもらっていて、少なくとも1人は研究生に回ってもらったのだが、基本的には冬季に問い合わせをもらった人は(社会人以外)全員研究生に回ってもらったほうがいいのかもしれない。人文系から来る人は、たぶんそのほうが余裕を持って入試の準備や研究ができるし、留学生は環境に慣れるという意味もある(ただ、現在は自分の余裕的な問題で、文科省国費留学生以外の研究生は受け入れていない)。
昼から(ニューラル)機械翻訳の勉強会。ニューラル翻訳の登場によって、従来のように単語アライメントから一つずつ理解していかないと機械翻訳の全体像がつかめず、途中で挫折しやすいという問題はなくなったように思うが、プログラミングおよび線形代数と微分、確率統計の知識がないと機械翻訳の研究がやりにくくなり、人文系出身の人には厳しさが上がったようにも思う。これまではコンポーネントごとに分かれていたので、全体を必ずしもいじる必要はなく、自分の興味のあるところだけ(たとえば対訳辞書構築)を改善すれば研究になったのだが、ニューラル翻訳全盛時代には個々のコンポーネントという概念がないので……。(理工系出身の人には圧倒的に参入障壁が低くなった)
勉強会のあと、人文系からうちの研究室に来ることが決まっている学生と合わせ、入学前に勉強してきてほしい内容を伝える。これまでうちに実際に進学してきた文系出身者は、実は数学もプログラミングも平均的理工系出身の学生よりできたので、進学後に基礎知識の点では問題がなかったのだが、今回初めて(大学レベルの数学とプログラミングを受験前に十分勉強していない)学生が入ってきそうなので、事前学習内容を指定したのである。
ちなみに自分のいる情報通信システム学域は英語・数学・面接で試験され、H30年度以降に改組が予定されている組織でも英語・数学・面接であることは変わりないのであるが、実際は人文系の人でも普通に合格する(これまでうちの研究室の受験生で、いわゆる文系出身の学生でも、受験した人は全員合格している)し、数学がそこまでできなくても(NAIST だったら不合格になるレベルでも)合格してしまう、という問題点があるのである。
結局のところ、NAISTにせよ首都大にせよ、人文系からでも入学できる(英語と数学以外、専門科目がない)、というのは長所だと思うのだが、大学レベルでサポートがある NAIST と比較して、そのようなサポートがない首都大の大学院に来る場合、自分で少なくとも学部2年次まで相当の数学とプログラミングは独習して来てくれないと、研究室ではサポートできない。学部3年次以降相当の内容は、研究室で補えるように基礎勉強会を多数揃えているが、さすがに学部2年次相当の内容はカバーできない、というわけである。自分がいるのが大学院大学で学部生の面倒を見ないでよく、学生数もいまの半分(10人強)ならそこからカバーすることも可能だとは思うが、今はそのような余力がない。もっとも、理工系出身(情報系含む)だとプログラミングができるか、というとそういうことでもないようで(さすがに数学はできる)、大学院入試で英語と数学はチェックできるが、試験では全く見ていないプログラミング能力についても事前に確認した方がいいのでは、と思っている。
実は、プログラミング能力というより、プログラミングに対する適性を見られればいいだけなのだが(プログラミング経験はないが適正のある人文系出身者に不利益になる)、結局プログラミング能力をそのまま評価するのがもっとも簡単で正確である。いくら「プログラミングやりたいです」とアピールされても、ほんの300時間くらいかければ習得できる内容は、やりたいなどと言う暇があればやればいいわけで(学生なので時間は融通聞くはずだし、もしこのような融通のできない人は進学してからも勉強に時間を取れないことが懸念される)、幸いいまは独習できる環境も揃っているし、最初のハードルはそんなに高くないと思うのである。
来年度は受験生に入試以外に事前課題(プログラミング)を伝え、その内容に基づいて面接をしようと思っている。せいぜい FizzBuzz レベルのことしか聞かないと思うが、さすがに全く書けない(プログラミング自身全くしたことがない)状態で入られると困るので……。