3年で問題点は分からない

娘を寝かせたあと紙オムツに履き替えさせるために起きたら、午前1時半から眠れなくなる。午後9時に寝ているので、仕方ないといえば仕方ないが、ミルクをあげるのは半眼で覚醒せずにできるのだが、紙オムツを履かせるのは覚醒しないとできないので、一度起きるとアウトなのである。

寝られないので仕事をするが、カリキュラムに関する仕事と入試に関する仕事で、どちらもそれなりの厄介なところがあり、神経を使う。カリキュラムに関することも入試に関することも、何年も前から準備して動いていくものなので、もやもやする。

たとえば、3年後の入試で入ってきた学生を見て、入試制度の善し悪しが議論できるのは、その学生が(設計したカリキュラムを経て)卒業して数年くらい経ってからだとすると、制度を設計してから10年以上経ってからである。しかもその10年後に議論して変えた制度変更がいいか悪いかは、さらに10年後にならないと分からない。こういうふうに年単位の計画を立てて中期的に変えていくのは苦手な仕事ではないが、そもそも現行の制度の問題点をちゃんと把握していないと改善もできないわけで、 着任してまだ4年目だと分かっているとは言いがたい。

そういう事情もあって、多くの大学では定年までいるであろう教授の担当する仕事と、教授に昇格するために転出する可能性のある准教授の担当する仕事とで、差をつけている(教授の方が、長いスパンで考えないといけない仕事が回ってくるし、准教授として一通り仕事を横目で見てから教授の仕事をする)のだろうが、首都大は教授と准教授の別なく回ってくる仕事が多いので、准教授でもこういう仕事をする(ことがある)。ポジティブに考えると、准教授でも教授並みのスパンで考えないといけないような仕事をさせてもらっている、ということで、とりあえず小さいところから変えていきたい。

午前中は情報工学演習という学部2年生の授業。データ構造とアルゴリズムの演習を担当する予定である。着任してかれこれ4回目の授業で、1年目は手探りで全員のコードのレビューをしていてものすごく時間がかかり、2年目は同じテキストで学生相互にレビューさせてみたがあまり盛り上がらず(B4 や B3 ならまだしも B2 では無理)、3年目はオンラインジャッジを使うようにしてようやく「これがいいかな」と思い、今年は昨年のやり方のマイナーアップデートの予定。

昼から SD フォーラムというオープンキャンパス的なイベント。受験生のためのイベントというわけではなく、学外の企業の方や学内の配属前の学生に向けたイベントで、各研究室がポスターやデモをするというもの、自分が着任する前はこういうイベントが定期的になかったようだが、年に1回くらいは学部全体が見渡せるようなイベントがあるのはいいことである。

うちの研究室としては、1年目は自分しかいないので自分が(NAIST で行った)研究紹介をしたが、2年目からは学生に手伝ってもらうようにしていて、去年からは完全に学生に任せてやってもらっている(研究室で「広報係」という担当の係を置いている)。結局学内の B2/B3 生が聞きにくるのがもっとも多く、研究室配属前の学生が話しやすいのは教員ではなく学生だと思うので、変に教員が出て行かないほうがいいと思うのである(B4 だけだとしんどいので、ポスター発表経験のある大学院生に手伝ってもらったり、というような配慮は必要だが)。自分自身、NAIST に進学する決め手はオープンキャンパスで在学生から話を聞き、在学生が伸び伸びと楽しそうに研究をしていたことだったので……(松本先生とは研究の話を全然しなかったし)。

夕方、とある論文誌の査読を(時差を考慮しても)〆切過ぎて返したのだが、自分が一番乗りだったようで、そういうもんか、とびっくりしたりする。まあ、最近は論文誌の査読は(査読するのがしんどいし、自分自身ほとんど投稿していないので)内容的に自分が査読せざるを得ない(自分より適任の人を推薦できない)とき以外、お断りしているのだが……。(国際会議の査読は読みたいあるいは読める論文を bidding できるので、割り当て数を減らしてもらった上で引き受けている)