木曜は会議ばかりで日が暮れる

午前中は論文紹介。[twitter:@shin_kan0] くんが

  • Boxing Chen and Hongyu Guo. Representation Based Translation Evaluation Metrics. ACL 2015.

を紹介してくれる。

機械翻訳の自動評価では、参照訳を用意して、システム出力と参照訳の一致度によってスコアをつけることが一般的だが、単語の表層形だけで参照訳とのマッチを取ると同義語や類義語の問題があることが知られており、分散表現を用いることでそれを解決しよう、というお話。実は我々も同じようなことを考えていたのだが、サーベイしてみたら先に同じようなことをやっている人が見つかった、という流れである。

先にやった研究がある、というのは残念なことであるが、1年早く思いついていれば ACL short に通った、ということでもあり、ネタとしては悪くなく、最近こういうような研究アイデアが学生からポコポコ出てくるので、あとはタイミング(運)と手を動かす速度の問題だと思っている。

また、今年は論文紹介を週2回用意することにして、週1回は古典 NLP、週1回は最先端 NLP ということにして、前者では2005年(10年以上前で、よく参照されているもの)を、後者ではそれ以降の論文を紹介してもらう方針にした。そして、「クリティーク」という論文を批判的に読んで査読のようなツッコミを入れる人を、古典 NLP の方につけることにした。(古典の研究を今リバイバルするならどうする、みたいなツッコミがしやすいように)

去年までは Speech and Language Processing(通称 SLP)を週に2回読む、というのが、自然言語処理の基礎および英語読解の練習の時間となっていたのだが、どうもあまり基礎の勉強になっていないので、自然言語処理の基礎は日本語の本で学ぶことにして、古典の論文を精読する、というスタイルに変えたのである(ここまで書いて気がついたが、うちの研究室では「論文紹介」と言えば自動的に英語論文である)。「1冊の分厚い英語の本を読み終えた」という感触を人生のどこかで得るのは悪くないのだが、費やす時間の割にグダグダになりがちで、とりあえず今年はこれで様子を見ることにする。

学生たちはこれに加え、arXiv 読み会という論文読み会を新しく作成したようで、そちらは精読ではなく毎回担当者を複数人決めて要点を紹介する、みたいな感じでやっていくらしい。

昼過ぎ B3 のテクニカルライティングの授業。前回はうちの研究室でやったが、今回は新実験棟にある阿保研究室にて開催。綺麗でいいなぁ。オートロックで ID カードがあればいつでも来られるのはいいのだが、カードを忘れると中に入れなくなる、というトラップがあり、いいことばかりではないらしい。

午後は研究相談。月末の論文投稿を控え、残り何をするか、ということを考える。M1 の人たちはまだ2年間あるが、M2 の人たちはそろそろ修論をどうまとめるかを考えながら研究をしないといけないので、論文は論文として、残り1年のことも考えないとなぁ。

夕方から教授会とコース会議のコンボ。コース会議は新年度のコース会議だけ「拡大コース会議」と題して助教の方々も参加するのだが、完全にクローズドでやるのではなく、年に1回くらいは出席しておけば、もし昇任人事で准教授になったときも、スムーズにできるだろう、というような意図があるようだ(どれくらい昇任人事があるのか分からないが)。

コース内の仕事も、准教授と教授でローテーションが違うようで、コース幹事は准教授内で周り、コース長は教授内で回るようで、2N年後(准教授の数的に、N=2)にコース幹事がまた回ってくるのかと思うと、自分が幹事でなくても可能な限り幹事の仕事をライトにしておきたい……