B2 から GPA を意識する

朝から大学院教務委員会なので、早くに出勤したかったのだが、なぜか娘も早く起きてしまい、「◯◯も、いく!」と行く気満々になってしまった。仕方なく一緒に家を出たのだが、「くるまのらない! あるく!」と言い張るので、近所の公園まで歩いて行って家まで戻り、後ろ髪引かれつつ娘を託して玄関を閉めて車で出勤。号泣する声が聞こえたが(こういうことは滅多に自分はしないのだが)、委員長なので(全員の予定の AND を取ったら朝の時間しか空いてなかったので)仕方ない。

大学院教務委員は2年目なので勝手はなんとなく分かるのだが、委員長は報告事項や審議事項の説明をしないといけないので、「学会が入った」みたいな理由で教授会を休みにくくなってしまった。まあ、大学院教務は日野キャンパスで閉じていて、全学の委員ではないので、毎月南大沢に行ったりしなくていいのは助かるが……。

2限は自然言語処理の授業。教科書「自然言語処理の基本と技術」に基づいて自然言語処理の概要の説明をする。この本、あまり詳しくアルゴリズムを書いているわけではないので、エンジニアとして仕事で使うので勉強したい、みたいな人、あるいは自然言語処理の研究をしてみたい、という学生には黒橋先生の放送大学の教材「自然言語処理」の方をお勧めしているのだが、授業を後期から前期に移した効果もあって博士前期課程の人が結構受けてくれるようになり、この教科書がちょうどよいかな、と思った(言語処理の実装をしたい人でもなければ、CRFの説明をしても仕方ないし)。時間があれば MeCab のインストールからデモをしようと思ったが、時間がなかったので解析結果だけ見せたり。どういう小話が学生にとって有益なのかいまいち分からないが、コマンドラインの操作を見るだけで勉強になるかなと思ってあえてそうしている。

昼休みには研究に関する打ち合わせ。日野キャンパス、先方の2か所のオフィス(それぞれ2名なので、合計4名)と Skype で接続。合計5台つながっていて、各人が接続する意味はあるのか? と思ったが、リモートでミーティングするのが常態の企業なので、これがベストプラクティスでこのようにしているのかもしれない……。

4限は南大沢でオートマトンの授業。こちらもなんで正規表現が便利なのか? というのが分からないかと思い、grep とか sed とか使って「こんな処理が一瞬で書けるので、便利でしょう? これの実現には、これから勉強する原理が使われているんですよ」と説明したりする。まあ、知らなくても使えるけど、少し複雑なことをしようと思うと、原理に関する知識があるといいと思うし……(なんでこのような正規表現を書くと遅くなるのか、みたいな話とか)。

授業の後、B2の学生から「自然言語処理に興味があるのですが、学部を出たあとの進路についてあまりイメージできません。どのような就職先があるんでしょうか? あと、大学院に進学しないと、自然言語処理に関する仕事をするのは難しいですか? 大学院に進学して実力的にやっていけるか不安で、迷っています」との質問がある。

就職先については、今年の3月に修了した学生たちもいるし、今 M2 の学生たちもいるので、こんな感じだから、うちの研究室ならこういう就職先が多いよ、と具体例に基づいた説明をする。学部で就職する人に関しては、専門性は基本的にないと見なされるので、自然言語処理に関する仕事ができるかどうかは分からないけど、厳しいでしょう、という話をする。そもそも、ウェブ関係の企業に就職活動をすると、研究室配属(うちはB4から)前にせざるをえないので、それに関してはどうしようもないし……(B3後期からの配属になればまだ違うだろうが)。

大学院に進学してやっていけるかどうかについては、筆記試験免除(推薦)で進学できるくらいなら問題なくやっていける、ということは保証したが、「でも、小町研は GPA お高いんでしょう・・・?」とのことで、B2 の人が個々の研究室に行くために要求される GPA の水準について知っているとは、情報が早いものだ、とびっくりする。

本当は無限に学生を受け入れられるならどんな学生でも受け入れたいのだが、研究室の物理的なキャパシティもあるし、小町の時間も有限というかむしろかなり限られているので、申し訳ないが定員に入れるかどうかは年による。毎年B4が4人来て、全員が進学するとすると、博士後期課程の学生が0人でもそれだけで12人になってしまうので、もう1つくらい研究室がないと無理な気がしている。

学部1-2年生のうちから高い成績を意識して取らないと希望の研究室に行けない、というのも変な話だと思うし、なんか他に方法ないのかなぁ。(教員が学生を選べるようにするのも、それはそれで弊害があるとは思うが)