就職をしたい人なら NAIST に

午前中は情報理論の授業。これで4年目なので、割と慣れたものである。今年は少し内容を変えたかったのだが、自分の使える時間を考えると、ここで新しいことをする余力はないので、授業スタイルを変える(これまでも毎回課題は授業中に解いてもらっていたが、今年からはそれを提出してもらうことにした)のと、1コマ分授業の内容を減らすくらいに止める。今日も(余談を入れすぎたせいだが)最後時間が足りず、反省。演習の時間を取ろうとすると、何を教えるのか、ということ以上に、何を教えるのを断念するか、というのが大事である、と痛感する。

お昼休みを挟んで午後からテクニカルライティングの授業。4月はこれがあるのでほとんど他の仕事をする余裕がない。授業中の質疑応答。

  • ソフトウェアエンジニアになりたくて大学院に行くとすると、プログラミング言語は何を勉強したらいいですか?
    • なんでもいいので1つ書けるようになりましょう。新しい言語やフレームワークは数年ごとに出るし、プロジェクトで使う言語が決まっていて自分で選択する余地がないこともあるので、特定の言語がすごくできるというよりは、どんな言語を使うことになっても自分で勉強できる能力をつけましょう。この研究室はこの言語を使っている人が多い、というのはありますが、研究室で言語を選んでもその研究室に行けるとも限らないし、最初は得意な言語を伸ばしましょう。
  • 小町研究室は勉強会が多いそうですが、どの研究室もそうなのですか?
    • いいえ、研究室によって様々です。うちの研究室は情報通信システムコース内では勉強会が多いです。もっとも少ない研究室は、週1回の全体ゼミがある程度ではないでしょうか。平均的には、週1回の全体ゼミと週1回の輪読会、みたいな構成ではないかと思います。うちの研究室では、大学院に進学する場合B4で就職活動がないので、たくさん勉強会を入れていますが、B4の後半からは他の平均的な研究室と同程度+αの負荷に下がります(週1回の進捗報告と週1回の全体ゼミ、そして週2回の論文紹介)。
  • 大学院への進学を迷っています。どれくらい進学するのでしょうか?
    • 情報通信システムコース全体では7割程度が進学します。ただし、内訳は偏っていて、研究室によって、B4でこの研究室に行く人は進学者がほとんど、この研究室に行く人は就職する人がほとんど、というように分かれるようです。大学院生数も多いところから少ないところまであるので、進学したい場合は大学院生数についても調べてみましょう。
  • IT業界はブラックなところが多いと聞きましたが、本当ですか?
    • 何をブラックと呼ぶかによりますが、30歳で年収500万もらえればブラックではない、と言うなら、大学院まで進学してエンジニアとして就職すれば、基本的には30歳ではそれくらいはもらっているんじゃないかと思います。ただ、仕事の内容や裁量については企業次第・部署次第で、向き不向きはあるでしょう。ウェブ企業は比較的自由な雰囲気のところが多いので、自由に働きたければ検討してみてください。
  • 研究室に共同研究やアルバイトの話が来ることがあると聞きましたが、どういう内容をしているのでしょうか?
    • ケースバイケースですが、共同研究の補助をお願いしたり研究開発に関するアルバイトを斡旋したりしていて、内容は多岐にわたります(内容に関してはここでは書きませんが、授業では説明しました)。共同研究のアルバイトの違いは、前者は論文を書けるのに対し、後者は論文を書けない、という違いです。インターンシップに関しては両者の中間で、論文が書けるリサーチインターンもあれば、そうでないものもあります。

テクニカルライティングはともかく、こういう質疑応答や研究室紹介をするのは意味あるかも、と思ったのであった。

授業後、ある B3 学生から、小町研に興味があるが GPA 的には行けそうもないので、大学院から進学することは可能か、という相談を受ける。筆記試験免除(推薦)の枠がいっぱいなら一般選抜扱いになるが、進学は歓迎だし、B4の時の配属先の研究室のゼミ等に影響のない範囲でうちの研究室の基礎勉強会に出ることも歓迎だよ、という話をする。

ただ、説明しなかったのは、一般選抜で受けるとすると、TOEIC の点数がそれなりにないと、他大学から来る学生と競り合って定員内に入るのは結構難しいかもしれない、という話かな……。他大学から受ける人たち、TOEIC 平均で700点弱あるのだ。もっとも、TOEIC 700点以上の人は併願先の東大・東工大NAIST に受かるので、特別うちに来たいのでなければ、そちらに進学しているようだが。うちに来るなら修士の2年だけ来ることはあまりお勧めでないし(就職活動的にも、首都大よりそれらの大学の方がいい)、博士に進学するならやはり大学院重点化されている大学の方が充実しているので、賢明な判断だと思う。うちの研究室のスタイルが合っていると思ったとか、そういうのがあるといいのだが、なかなかないしなぁー。

その後、研究室に行って進捗報告を聞く。1時間程度しか聞けなかったが、一言言えば解決する問題も頻繁にあったりするので(かけなくていい時間をかけていたりするので)、やはり毎週1人5分でも聞いた方がいいように思った。

夕方は南大沢で国際副専攻委員会。システムデザイン学部はまだ導入していないので、気持ち的にはオブザーバーなのだが、副学長から「システムデザインはまだ導入していなくても、正式な委員なのでオブザーバーではないですよ」と補足していただいたり、全学の委員なので、大学運営的には割と勉強になっている(教授会と重複するような議題も多いが)。ただ、毎月南大沢に1回行かないといけない、というのが若干手間である。

帰りは娘が「くるまのらない!あるいてかえる!」と言うので保育園から徒歩30分かけて帰宅。最初の10分ほどは意気揚々としていたが、疲れてきたのか途中から「だっこ」と言うので抱いて帰る。歩きながら、「わんわんいっちゃったね」「くるまいっぱい、こわいよ」「これなに?」など、いろいろ喋る。これまで娘に対して特に愛着は感じていなかったのだが(愛着を感じていないという意味ではなく、娘だからといって特別ではない、という意味)、今日は特別に感じた。この子が大きくなるまでは、見守っていたいな、と思ったのであった。