ツッコミを入れる視点を身に付ける

午前6時からメール処理。少しずつ追いついていると思うのだが、まだ追いつけない。

午前中は論文紹介をしてもらう。概ね10年以上前の論文でよくリファーされているものを「古典」とし、そういうよい論文を精読する、という勉強会である。1時間ほどで紹介する学生が内容を説明したあと、「クリティーク」と呼ばれる別の学生(事前に指名してある)が論文についてツッコミを入れる。

あまり慣れていないとツッコミが質問ばかりになってしまうのだが、ツッコミをしてもらうポイントは、論文を査読する気持ちになって、もしこの論文を通すもしくは落とすとしたらどこがポイントか、ということを体得してもらうことなので、今年からは ACL の査読フォーマットを渡してそれを埋めてもらう方式でやってもらっている。もっとも、自分が一度投稿してそういうメールをもらっていないとやりにくいだろうが、半数以上の学生が一度は国際会議に論文を投稿しているので、まあなんとかなると思う。

しかしどうやら学生たちはかなり研究の質に対して甘いようであり、これくらいで通ると思っていると確かに最後まで詰め切れないだろうな、ということが分かって発見がある(もちろんトップカンファレンスに通った論文を読むのでどれも悪い論文ではないのだが、ツッコミどころが分からないようである)。「批判的に読む」という訓練なのでそれで全然問題ないのだが、通そうという気持ちではなく落とそうという気持ちで読んだらどこがツッコミどころか、というのを意識してほしい(それが結局自分が論文を投稿したときにツッコミを受けるのと同じ視点なので)。

学生でちゃんとツッコミを入れているのを見ると「よくこういうツッコミが入れられるようになったなぁ」と思うものだが、そう思うようになったのは昨年度からで、研究室に3年くらいいると自然言語処理の知識がついていい感じにツッコミを入れられるようになるみたいだが、できれば研究室に1年いればこれくらいツッコミが入れられるようになってほしい。自分で考えたテーマで研究をして、それを国際会議に投稿できるくらいだとこういう批判的思考ができるようなのだが、1年でそこまでやろうと思うとなかなか難しくて、入学した秋には自分で考えたテーマで研究をしている計算になる(それができるには、やはり最初の半年はメンターをつけて実験したりしたいないとダメそう)。自分でネタを出して手を動かしたことがあるか、というのがポイントで、そこそこサーベイも実装力も必要なので、なんとかうまいやり方を見つけたい。

昼からコース会議。最近は学部再編の話も落ち着いたので、コース会議はあまり長時間になることはなくなった(それ以外の委員会や教授会があるけど)。

夕方は学生のインターンシップをお願いした企業の方と、インターンシップの内容に関するミーティング。テーマ自体はどれもおもしろい内容で、インターンシップを機会にうまくアウトプットにつながるといいと思うのだけど、難しいタスクであることも分かるので、なんとか着地できるといいなと考えている。

ちなみに今年は M1 の5人中希望を取ったら2人が研究室の紹介でのインターンシップを希望したので、2人ぶん仲介している。研究室としては M1 の夏はインターンシップに行くことをお勧めしていて(特に内部進学の学生)、例年半数程度が研究室の仲介でインターンシップに行っている(自分で応募する学生もいる)。もっと行ってもいいと思うのだけど、行きにくいのかな。研究テーマとマッチさせようとするとあまりマッチしないだろうし、インターンシップはむしろ大学での研究テーマと別のことをやるいい機会なので、短期間で違うことに挑戦して自らの幅を広げてほしいのだが……。