はじめての修了生の巣立ちの日

午前中、昨日進捗報告ができなかった学生2名の進捗報告を聞く。数的には進捗報告対象のメンバーが10人くらいだと毎週の進捗報告がちょうどいい気がする。前期は新入生が進捗報告対象ではないのでいいのだが、今年度の後期は進捗報告対象のメンバーが18人いたので、ちょっと多かった。来年度も今年度とほぼ同数の学生数で、同様の問題が予想されるので、なんらかの対策を講じたい。

お昼休み、卒業生への寄せ書き色紙を記入する。研究室の在校生が卒業生のために用意していたらしい。サプライズらしいので、自分も卒業生がいる場所では話題にしたりできなかったが(笑)自分は淡白なのか、こういうのを企画したことはないのだが、もらうと嬉しいものだし(NAIST を離れるときもらって、すごく嬉しかった)、一生の記念になるので、いい企画である。

午後は大学院教務委員として博士後期課程の学位記授与式に参加。大学院教務委員は任期2年で来年度も継続なので、来年度も委員として出席する必要があるのだが、さ来年度は指導教員側としてこの場に立っていたいものである。

博士後期課程の学位記授与式に引き続き、博士前期課程および学部生の学位記授与式。いつも思うのだが、学部生の学位記授与式と博士前期課程の学位記授与式は分離した方がいいのではなかろうか? コース長のお言葉が1回で済むし、幹事の拘束も1回で済む、という利点はあるのだが、学生からすると、重要なのは自分が呼ばれるときだけで、それ以外の人が学位記をもらうのは単なる待ち時間にすぎないので、解放してあげたほうがいいような。

夕方は八王子で追いコン。研究室初の大学院生が修了するので感動もひとしお。お昼に書いていた寄せ書きは完成したようで、贈呈式があったのだが、それぞれ所属していた勉強会の後輩が、メッセージとともに渡す、という粋な計らい。それだけで終わりかと思いきや、在学生からなにやら個々人に合わせたサプライズのプレゼントもあったようで、準備が周到である(笑)そこそこ値が張ると思うのだが、みなさんがんばったのだろうか……(卒業生の追いコンの代金と、記念品のボールペン代は、全部自分が負担したが)

今年はせっかくなので卒業する学生以外もねぎらおう、ということで、

  • 最優秀研究賞: もっとも論文を投稿した人に。
  • 優秀研究賞: 次に論文を投稿した人に。
  • 研究奨励賞: 共同研究に取り組んでいる人に。
  • 挑戦的萌芽賞: 結果的に思うような成果は得られなかったが、いろいろ実験した人に。
  • 研究支援賞: 後輩を共著者として支えてくれた人に。

という賞を用意。賞状も Amazon プライムで注文して印刷したので、できたてホヤホヤである。研究室の印鑑を作って押せばよかったかも、と若干思わなくはない。

この表彰の目的は自分的にははっきりしていて、しっかり研究に取り組む、という過程を評価したい、ということに尽きる(最初は「もっとも論文を読んだ人」「もっともコードを書いた人」に賞を出したいと思ったが、測定できないので断念した)。いい成果が出て査読付き国際会議に通るかどうかは運もあるし、採択された人は既に評価されているので、成果が出なくても、あるいは成果が出る前でも、十分取り組んでいる(ので、成果が出るのは時間のうちだから、諦めないで)、と伝えてあげたいのだ。

外から見ると、対外発表をたくさんしていたり、国際会議で発表したり、受賞したりする研究や人が注目されがちだが(巨大な研究室だと、学会に来ないので外からは存在が認知できない人も多い)、「中の人」だからこそ、華々しい成果がまだなくても、実力は十分ある、ということを評価できるので、まだこれからだよ、と教えたい。

思えば自分の尊敬する先生方はみんなある種の能力(才能?)を持っていて、全く研究成果がないころから、将来成長する学生に適切なアドバイスをしているように思う。そういうバイアスをかけているからこそ成長する、というサイクルは当然あるのだが、B4 や M1 で将来が海のものとも山のものとも知れないのに、よくピックアップできるものだ、と不思議で仕方なかった(自分の直感が外れることもよくあった)。しかし、首都大に来てからなんとなくそのココロが分かるようになってきて、結局たくさん読み、たくさん手を動かし、たくさん口を出す、という人が伸びるのだろう、と考えている。

さて、卒業生は結局6人だが、全員よくかんばったと思う。特に1年目からいる3人は、研究室に5人しかいなかった時代からお互い苦楽を共にして、そのころからすると本当に感謝以外の言葉がない。ゼロから研究室を立ち上げる経験は、研究室では1回しかできないと聞いているので、この経験が彼ら・彼女らの役に立つといいなと思っている。そういう意味では、今の M1 で内部進学した4人の学生までは、研究室に10人しかいなかった時代を経験しているので、彼らもサバイバル力高いと思う。

そして、研究室としては今後の活躍が楽しみ。大学は東京にあるし、いつでも遊びに来てほしい。社会人博士で戻ってくるのも歓迎である(笑)