リアルでは公聴会でつながれる

午前中、少しメール処理してから [twitter:@hwtnv] 研のインダストリアルアートの学生さんの公聴会へ。ソーシャルメディアを使った研究(中ではどの研究もテキストを扱っている)ということで、うちの研究室的にも関係しているし、せっかく隣の学域なので、聞きに来たのである。仲間が話をするときは聞きにいくものという話も以前書いたが、教員1人の同僚ということで境遇も似ており、アウトプットの量は自分と比べるべくもない(自分はなかなかアウトプットの時間が取れない)が、勝手に同志だと思って応援している。

話の内容はソーシャルメディアTwitter)をオルタナティブメディア発信の手段と位置づけ、これまでのマスメディアではこぼれ落ちてしまうような声を拾ったり拡散したりするために活用する、3つの方法を提案している。1つ目はボットを使って被災者の声を拡散するという手法、2つ目はある話題について Twitter から立場ごとに意見を収集してポジネガを付与して可視化するという手法、3つ目はウェブ検索エンジンメタ検索エンジン)の検索結果の新しい可視化手法。

話を最初聞くと、1つ目の話はマイナーな提案かと思ったが、3つ連続して聞くと、割と1つ目の話が一番本質的な手法で、オルタナティブメディアとして世論を動かすには、受け手にとってリアルタイム性のあるニュースでないと爆発的に拡散されないので、昔の話でも新しく取り上げて掘り起こす(かつ長文だとみんな読まないし、リンクをクリックしないといけない手間も歓迎されない)、ということが必要で、それにはボットが適しているのかな、と思った。

2つ目と3つ目の話は両方可視化の話。話としてはよいのだが、個人的に気になったのは法律的な話で、質疑でも「オルタナティブメディアは法律をあえて無視することもある」という答えであった(提案手法を使う人は、現在は法律違反であることは理解してやってね、というスタンス)が、さすがにそれはどうだろうか……。技術自体に違法性はないが、使うと違法行為になってしまう、という状態は健全ではないなので、解決する方法をぜひ検討してほしい(技術的な問題に止まらないので、難しいが)。

質疑応答でアートの先生方が触れていたが、インダストリアルアートの1期生だそうで、学部から入って博士号を取った1号らしい。うちの研究室の博士号を取得する1人目が数年後に誕生すると思うが、最初の人はいつも大変で、道を切り開く精神が必要だが、大きく成長できることと思うので、コツコツ取り組んでいってほしい。

午後はメール処理の合間を縫ってミーティング3連続。

研究生を検討していたが、出願〆切に間に合わなかった、という人の相談に乗ったり。博士前期課程に入学希望の人は、研究生ではなく直接入学してもらっているのだが、研究生自体をやりたい(授業に出たり学位がほしかったりするわけではなく、研究室の勉強会に出たり論文を書いたりしたいだけ)、という人は定員に余裕があれば受け入れたいと思っているのである。ただ、研究室単位で勉強したり研究したりする理工系の文化に馴染みがないと、小町が授業したりするのを聞きたいと思って研究生や大学院生での入学を希望するようだが、うちの研究室で教員が直接関与するのは2割くらいで、残りの8割は学生が自分たちで勉強したり研究したり遊んだりする環境が重要で、後者にこそ魅力と意義を感じてもらえると嬉しい。

まあ、来年度は最初の半年だけ奇跡的に1席余裕があるだけで、通年で受け入れられるわけではないし、今後も余裕はあまりなさそうだけど……。