研究の強みがどこか考える

朝起きて原稿にコメントを入れる。半年前から「この実験、効果があると思うのでやってほしい」と言っていた実験をやってくれたのだが、案の定絶大な効果があり、なるほどという感想。

結局深層学習の研究ってネットワーク構造をいじったりするので性能が大きく変わるということはあまりなく、いかに質の高いリソース(言語資源)を大量に得るか、ということが大事で、どのようにそれを達成するかということのほうが重要である(言語資源はそもそも深層学習に限らず利用できるし)。

朝は学部長室に呼ばれてヒアリングされる。お互い仕事で仕方なくやっているわけだし、波風立てずにやりましょうよ、という感じになり、まあそうだな、と思ってしばらく忘れるのだが、これだと問題のある制度や仕組みが温存されるだけで、長期的には全員損をするのではなかろうか?

午前中は共同研究の打ち合わせ。言語処理のことを分かっている人がいらっしゃる共同研究は話が早く、ありがたいものである。せっかく続けてくださっているので、ご迷惑をおかけしないように、ちゃんとコンスタントに成果を挙げていきたい(一区切りしたので、新しいテーマを探索するフェーズだけど)。

午後は大学院教務委員会(前年度の委員長業務)を挟んで進捗報告。金曜日は(ニューラル)機械翻訳の進捗報告を(少なくとも資料は英語で)やることになったが、この分野は流れが速く、どこにフォーカスするのかをちゃんと考えないといけないので、研究テーマの選定にある程度介入する必要があるように考え始めている。いま機械翻訳の研究をするなら、ニューラル機械翻訳は避けて通れないので、流れが速いからニューラルはやらない、というわけではないが、博士後期課程の学生だとちゃんと国際会議や論文誌に通さないと博士号が取れないので、「先を越されたから arXiv に投稿して終わり」というわけにはいかないのである。

結局うちの研究室の特長としては、しっかり言語現象を追うところだと思っているので、ニューラルにすることそれ自体がポイントであるような研究はあまり強みを生かすことができず(もっと手の早い研究室に先を越される)、手法はニューラルにした上で言語的な知見を加えてもう一捻りしないとなと思うのである。(機械学習の知識もプログラミングの知識も言語そのものの知識も全部必要になるような研究であれば、コードを書いて適用しました、という人に先を越されたりすることはない)