石の上にも三年と言うけれど

今日は事務補佐員さんが来る日なので、ハイパー事務処理タイム。最近、学生に直接事務まで書類を持っていってもらうような運用になったのだが(自分も事務補佐員さんも、学生数が増えてしまったので、事務処理量的に対処できない)、これで回るならこれが最適なように思った。ただ、職員さんの負荷を上げているようにも思うので、できるだけ〆切を守るよう、割と強めに言っている(あまり人のことを言えないので、自分のことを棚に上げてしまうが……)。

お昼から [twitter:@tomo_wb] くんが首都大に来てくれたので、一緒にご飯を食べたり、研究室でトークしてもらったり。彼が首都大に来るのは2回目なのだが、1回目に来たときはトークを頼み忘れてしまったので、次来るときはお願いします、と言っておいたのであった。ちょうど博士論文の最終審査が終わったところのようだったので、公聴会のスライドを使って1時間話してもらう。質疑応答も盛り上がり、非常に有意義であった。去年の同じ時期と比べると、こうやってしっかり研究のトークおよび情報交換ができる研究室になった、というだけで自分としては感無量であるが……。(それなりにみんな研究のレベルが高くないと、意味のある質問ができない)

思えば @tomo_wb くんが D2 になるタイミングで自分は首都大に来たのだが、彼が M1 で NAIST に入学してきたときに自分がちょうど助教になり、言語教育勉強会という研究グループの立ち上げを一緒に3年間やってきただけに、こちらも感慨深い。言語教育勉強会も、結成した翌年度に人数が一気に増え、一時は参加者20人を超える大所帯になったのだが、それくらいのグループになってからはコンスタントに研究成果が出せるようになった。首都大に来てからも全く同じで、初年度は人数が少なかったが、2年目に10人、3年目に20人と拡大し、ようやく研究成果が出せるようになってきた。「石の上にも三年」と言うが、自分は割と3年やれば一山越える、という実感がある。教育は複利で雪だるま式に育つものなので、最初は小さな歩みに見えるかもしれないが、コツコツと続けていればいつかは大きくなるものなのだ。

来年度研究室が何人規模になるか分からないが、在籍したことを楽しく思い返せるような研究室にしたいものである。

午後は PRMLパターン認識機械学習)勉強会、だったが、自分は大学院教務委員会へ。毎月1回だけだが、この時間帯に入ってしまったので仕方ない。修士論文の中間報告会の日程を確定したり、なんだり。学内の委員会の仕事、時間を取られるといえば取られるのだが、それなりに大学運営に詳しくなることができるので、勉強になっている。鋭い意見を言う方々もいて、おっ、と思うことも少なくない。学内の委員会は任期2年でローテーションするのだが、学部教務と学部入試が回ってこなければ、しばらくはゆっくり過ごせそうである。(保育園の送り迎えをしているうちは厳しそう)

夕方は NL 研(情報処理学会自然言語処理研究会)に向けた研究相談を受ける。といっても、赤を入れた原稿の解説。

関連研究を書くのが難しいようだが、これは日頃のサーベイの積み重ねがないと突然書けるものでもないので、仕方ないのかもしれない。特に、いまの M1/B4 の代からは、ちゃんとサーベイをしてもらっているのだが、M2 の代はサーベイをしてもらっていないのである。

関連研究を書くにも、本研究との共通点と相違点が明らかになるように書く(つまり、なぜその研究を関連研究として紹介するのか分かるようにする)のだが、ほとんどの学生は、その研究がどういう研究かだけを書くので、なぜそれを取り上げるのかが分からない。実験に関しても、なぜその実験をやったのか、どのような結果で、どういうことが考えられるか、を書いてほしいのだが、やった実験の設定と結果だけが書かれていて、理由が書かれていなかったり、あるいは評価結果の数字だけ書かれていて考察が全くなかったり、(自然言語処理の)論文としての体裁になっていないのである。

論文の書き方についての本を読んだり、演習を受けたりしても、関連研究の書き方を練習をするのは難しい。というのも、それなりに内容のある主張をしたければ、相当な量と質の関連研究を読む必要があり、事前知識あるいは予習なしに受ける演習や本ではポイントが分からないのである。結局、何かの分野で論文を書き、その論文に必要な文献調査を一通り網羅的にやって論文を書いてみてようやく身につくものなので、やはり最初の1回はなんでもいいから(適切に添削してくれる人がいる環境で)論文を書く経験をしてみる、というのがよいと思う。