併願の滑り止めでも大丈夫

最近娘が抱っこをせがみ、抱っこすると「こぉ!」(恐らく「こっち」「そっち」「あっち」の意味)と言いながらあちこちを指差し、「こっちに連れていって」「それを取って」「あっちを見せて」と指示するようになったのだが、付き合うとエンドレス……。

午前中はワークショップの進捗報告を聞く。うまく行くかと期待して実装した手法が思ったよりうまく行かず、いろいろ試してみたのだが、結局若干よくなった程度、というところでタイムアップ。結局のところ、評価尺度とデータ(タスク)の問題の両方がもっとも重要で、手法の差はそれほど関係ない、ということであろう。本質的な問題が解けないと意味ないと思うのだが、データをちゃんと作らないと、意味がない問題を解いている可能性があるのだ(まあ、それも含めて、やってみないと分からないこともあるし、練習問題的に手を動かすことに意味がある場合もある)。

お昼は受験希望で見学に来てくれた人とランチ。ゴールデンウィーク明けから5月中は毎週2-4名の見学者。今年は去年一昨年よりも自然言語処理をやりたいと言う人が多いので、少し嬉しい。自分のスタンスとして、別に自分の研究室が第一志望でなくてもいいのだが、併願するのは自然言語処理の研究室にしてほしい(どこに行くにしても、将来言語処理学会とかで会える)、というのがあり、併願した結果、自然言語処理ではない研究室に行くことにしました、と言われるとがっくりするのである。

もっとも多いケースは(といってもn=3だが)、東工大と併願し、第一希望ではない研究室に受かったが、東工大に行くことにしました、というケース。もちろん熟考した上で決断したのだろうし、学生にとってベストな進路に行ってもらうのが一番だと思うのだが……。そういう人が毎年数人いるので、うちの研究室は定員なしで全員受け入れているのであった。

とはいえ研究室も物理的スペースが来年度以降は厳しいかもしれないので、どこかの段階で第一希望でない人の出願を認めなくするか、あるいは定員を設けるしかなくなるような気がしている(自分の予想では、NAIST 松本研が修士を受け入れられなくなったとき、うちの受験希望者が増えるのではないかと考えている)。

昼過ぎから研究会。M2 の人たちの研究紹介が一段落して、M1 の人たちの研究紹介に突入。現在取り組んでいる、あるいはこれから取り組みたい研究については進捗報告の時間に話してもらっているのだが、去年どういう研究をしたか新入生が聞くタイミングがないので、年度最初はチュートリアルも兼ねて、これまでの研究を紹介してもらっているのである(そういえば、松本研時代、先輩の公聴会に出て、過去にこんな研究もしていたのか、と初めて知ったりしたこともある)。

あと、今年は新入生の人たちとじっくり喋る時間が取れていないので、とりあえず学部生から順番に個別面談を始めることに。すること自体はゴールデンウィーク前から言っていたのだが、スタートしていなかったのである。大学にいる時間がものすごく短いので、なかなか時間が確保できず申し訳ない。

自分の中では学生に使う時間が最優先なので、共同研究や研究相談でも、相手先がすでに知り合いあるいは研究に理解があり、双方にメリットがありかつ将来性のあるお付き合いでなければ、お受けするのは減らしているところである。メールのお返事は、遅れながらもなんとかしているが、面識がない場合はほぼ確実にメールのお返事をするだけである(例外はこの日記を読んでくださっている人で、日記を読んでくださっている方は仕事の量や状況など分かってくださっているので、直接面識がなくてもお会いすることもある)。

夕方は論文紹介。

  • Kalchbrenner et al. A Convolutional Neural Network for Modelling Sentences. ACL 2014.

を紹介してもらう。畳み込みニューラルネットワークを用いて文をモデル化する話。長さの違う文を比較可能にするためにいろいろしている。実験結果については特に疑問はないのだが、こんなネットワークをどうやって思いつく(設計する)のか、いつも謎である。人間(動物)がそうやっている、というような背景があるならまだ分かるが、文を理解するときにプーリングしているかと言われると首をかしげざるをえないし、いくら精度が高いと言われても、なぜこのようにしたのかの気持ちが分からないので腑に落ちない。自分で実装してみたら気持ちが分かるのかもしれないが……。