学食で間違われるとまだ若い

午前中は受験希望者を交えて進捗報告。言語処理学会年次大会に、研究室からお金を出して聴講参加した5人に、それぞれ参加報告をしてもらう。自分も全ての発表を聞いたわけではない、というか、そもそも聞いている発表のほうが少ないので、勉強になった。聴講ではなく発表で参加した人も、どのようなコメントをもらったかとか、話してもらった方が有益ではないか? という気がした。

お昼は学生たちと学食に行ったところ、改装されていてかなり雰囲気が違ってオサレになっていた。券売機が壊れていたので、学生分まとめて自分が払ったところ、若い男性の店員さんから「じゃんけんか何かで負けたんですか?」と言われ「いやいや、教員なので学生の分ですよ」と否定したが、もっと気の利いた返しができればよかった(別に教員でも出さない人もいるだろうし)。

午後は受験に関する相談を受けたが、受験以外のことについても色々とお話をする。今年は博士後期課程への進学を希望する学生が多いので、嬉しいことである。博士後期課程に進学したい人の場合、自分の研究室に来てくれるのは当然ありがたいのだが、自然言語処理という分野自体に興味を持って5年間研究してくれる大事な若手ホープだと思っているので(特にプログラミングができたり、機械学習ができたり、あるいは論的思考力があって英語ができたり、といった能力のある人)、特に自分の研究室にこだわらず、本人にとってベストな環境で研究できるよう、アドバイスする。

いま日本で大学院から自然言語処理の研究をしたいなら、学生数・スタッフ数ともに最大級の NAIST 以上の環境はないと思うが、研究レベルでは東北大乾・岡崎研、東工大奥村・高村研、東大鶴岡研、京大黒橋研あたりが言語処理学会の受賞者の常連なので、研究テーマ・研究室の雰囲気・ロケーションなど考慮して決めるとよいかなと思う。

今年はうちからも

  • 平田亜衣「Factorization Machines を用いた未知の固有表現分類」

が若手奨励賞をもらったので、うちの研究室も今後は常連に食い込んでいきたい(最優秀賞・優秀賞・若手奨励賞を合わせて全体でも受賞率は3-4%程度のようなので、毎年10件発表すれば、1件程度は何らかの受賞対象になるのではないか? と思っている)。自然言語処理業界は、これでも自分が学生のころと比べると賞の件数は数倍になっているのだが、他の情報系の分野のように賞がインフレしていない(セッションごとに学生に賞を出す全国大会も少なくない)ので、受賞した学生は胸を張っていいと思う。

夕方は研究相談と就職相談。この時期でまだ就職先が決まっていない学生がいる(本人たちは実力はあると思うのだが、就職先を紹介する、と言っても自力で見つけようとするので、自分としてはどうしようもない)のは問題だが、今年度に修士号を取得して就職していく学生が初めて出たので、どういう学生にうちの研究室に来てほしいか、というのが分かってきた。内部進学の学生はいいのだが、大学院から来てすぐ就職したい学生は、入学前から英語、プログラミング、機械学習のいずれかはとびきりできる人に来てほしい。最低限の知識は2年間で身に付けることができると思うのだが、それだけでは武器にならないので、最初から武器を持っている状態で来てもらい、2年間(正味1年強)で防具を整えるくらいではないかな、と……。