研究者には休暇が必要

今月2日目の有給休暇である。

とはいえ、午前中は打ち合わせのため、六本木ヒルズバイドゥへ。プレスリリースにあるように、今年の春くらいから1年ほど、情報発信に関する監修のお仕事をするのである(監修なので、自分で何かを書くわけではない)。

呉さんの紹介(依頼?)で始めたのであるが、こちらはアドバイスする側とはいえ、いろいろ話をお伺いすると勉強になることも多く、ときどきはこうやって企業の方とお話しするのはお互いにとって有益だな、と思ったりする。たまたま東京オフィスにいらした呉さんと再会したり、よい刺激になっている。

1年間あるとけっこう状況が変わっていくかもしれないが、あとから読んでも読み応えがあるような情報発信ができるよう、お手伝いしていきたいものである。

お昼は研究室の学生たちを連れて Google へ。[twitter:@komatsuh] さんにホストしていただいて、[twitter:@taku910] さんと5人でランチである。去年は研究室メンバー5人全員でお邪魔したのだが、今年は全員だと10人になるし、インターンシップ中でいない学生もいたので、去年参加していない人を中心に声をかけたところ、[twitter:@shin_kan0] くんと [twitter:@marujiruo] くんが来ることになったのである(半年間研究室に来ていた学部3年生にも声をかけたのだが、興味がないのか来なかった)。

ACL という自然言語処理の最難関国際会議のフルペーパーの投稿〆切が日本時間の明日で、ラストスパートをかけている、という話をしたり。@taku910 さんから、ACL のフルペーパー(8ページ+参考文献)を通すためにかける労力を考えると、アイデアがよければ拾ってくれるショートペーパー(4ページ+参考文献)ぐらいがちょうどよい、という話をお聞きして、確かにそうだよなぁ、と思ったりする。

かくいう自分もこれまで ACL のフルペーパーを投稿したことはなく(投稿していないということは、当然採録もされていない)、ACL はショートペーパーだけなので、同感である。博士号を取得して今後アカデミアで生きていこう、と思う人は、どれくらい質の高い研究をしたことがあるか、ということが見られるので、ACL のフルペーパーに投稿・採録されたいというモチベーションも湧くだろうし、意味もあるのだろうが、修士で就職する学生や、博士号を取得しても大学や国の研究所で仕事をしている人でもない限り、最難関の国際会議に通すだけの論文を書く、というのは労力に見合うかというと微妙なところである。

そういうわけで、修士で就職する学生、特に研究職ではない仕事に就くことが決まっている学生は、成果が挙がったら国際会議で発表してもらえれば嬉しいのだが、ショートペーパーでもいいんじゃないか、と思っている(し、メジャー国際会議に関しては必ずしもフルペーパーへの投稿は勧めていない。マイナー国際会議だと、さすがにフルペーパーで投稿してもらうだろうけど)。

午後は @komatsuh さんに社内を案内していただく。ゲストの行けるところは全部見せてくださったように思う。大変満足。最近家で「2人ともフルタイムで働き始めると、サバティカル(研究休暇)で海外には行けないだろうけど、1年くらい企業に行ってみたい」と話したりしているのだが、サバティカルの取れる10年後に、自分がこういうところに来られるだけの競争力を保ち続けていられるだろうか?

ちなみに首都大では「配偶者同行休業制度」という制度が4月からスタートするそうで、配偶者がたとえば海外赴任するとき、3年以内であれば退職せず休業で行けるらしい。ということは、妻が海外に行くならサバティカルを使わなくても自分がこの制度でついていくことが可能である、ということだ。その間の収入が途切れるという問題さえ解決できれば(自分の仕事も見つかるような地域であれば)十分ありうる選択肢だなー。