論文を書くなら常に Grammarly

今日は在宅勤務日。台風が来ているそうだが、雨の日はあまり通勤したくないので、在宅で仕事できるのはありがたい。

午前中はメール処理。時間が全くないと(そもそも読み書きする時間がないので)メールが書けなくなり、少しあると(ダラダラ書けるが推敲する時間がなく送ることになるので)長文メールになり、ものすごくあると(推敲する時間があるので)簡潔なメールになるのだが、今はちょうど中間的な忙しさなのでメールが長文になりがち。

昼過ぎにちょっと家を抜け出して学校選択制の申請に行く。希望する小学校はたくさん受け入れる定員があるので、特に問題ないと思うが、定員を超えたら抽選になるようだ。そういえば中学受験で国立の中学を受けたら抽選があったはずなのだが、自分で抽選に行ったのか親に行ってもらったのか覚えていない。自分の性格を考えると、自分で抽選に行きそうなのだが、小学校を休んでまで行ったかどうか……。

夕方はメール処理の続きをしたり、国際会議の原稿にコメントを入れたり。最近、国際会議の原稿のキューが空になることがないのだが、みんな(分散して)論文を書くようになってよいことである。以前はそもそも書く量が少なかったが、書くときもみんな同じ国際会議に集中して投稿していたために、コメントをする方が大変だったので……。書く側としてはみんなと揃った締め切りで書く方が、一緒に励まし合ったりできていいのは分かるのだが、筆頭著者ではなく共著者の方がボトルネックになりがちなので、バランスが難しい。

ちなみに、自分としてはちょうどよい限界が「同時に20ページまで(ロング2本ショート1本)」だったのだが、最近はニューラル機械翻訳や Grammarly のおかげか、ロングを見るのもそこまで大変ではなくなってきたので、これらのツールを駆使して書いてくれている場合は、同時に見るのは30ページ(ロング3-4本)くらいまではできるようになった気がする。Grammarly でも流暢な表現にできたりはしないのだが、明らかな文法ミス的なものを指摘しなくていいだけで、コメントを入れるのがかなり楽。

そういえば Langsmith Editor は、類似表現を考えるのにかなり便利。(直接書いた文法的には正しくない英語でも、元は日本語のものを機械翻訳に通した英語でも)適当な英語を書いてフレーズで検索すると、論文から取ってきた洗練された表現をサジェストしてくれるのである。最後は(毎回)Grammarly でチェックする必要はあるが、Grammarly は文法的に正しくしてくれても表現にバリエーションを加えてくれるわけではないので、Langsmith Editor はかなりよいと思っている。

最近は研究室の学生にも、ロングとショートとデモと学生セッション(Student Research Workshop)があったら、特別な理由がない限り(実験が間に合わない、というのが一番大きな理由)できるだけロングで投稿してもらうことにしているのだが、英語で長文書かないといけない、と言うのが非ネイティブにとって結構しんどいのが投稿を億劫にするポイントで、Grammarly を使えばそこはだいぶ軽減されるので、助かっている。ショートはショートで論文の形式としては自分は好きなのであるが、数字が良くなったということで論文を書いて、それで研究が終わってしまうと、そこから先に続かない、というのが最近は気になっていて、その後も続けてロングペーパーにするとか、論文誌にするとかあればいいのだが……(あるいは、言語資源に関する研究なら、別にショートペーパーや SRW でもいいのだけど)。

ちなみに、SRW とショートの間には結構な差があって、*ACL のショートペーパーは言語処理学会年次大会で若手奨励賞をもらうボーダー前後以上くらいの内容でないと通らない(キラリと光る内容がないといけない)印象であるが、SRW の方は大抵のしっかりした研究室が言語処理学会年次大会で発表する内容であれば、(主張がちゃんとしていて実験が適切になされていれば、そこまでパッとしない結果あるいは新規性の高くない手法でも)適切に英語にすれば通るという印象である(なので、国際会議でコメントをもらったり、英語による発表を練習するためにはちょうどよいのであるが)。松尾さんが人工知能学会全国大会で発表される論文のうち、1/3はきちんと書けば AAAI に通ると書いているのと同じような感じ(トップカンファレンスである AAAI の本会議と、*ACL の SRW とを比べるのは、AAAI に失礼だろうが)。

あと、SRW については、これまでも研究室で手がけた最初の研究は練習のために投稿することを認めていたのだが、そもそもオンラインで開催されるなら本会議に参加するためにワークショップで発表する、ということのインセンティブがあまりないので(ACL 年会費を入れても$100なら、聴講でも参加費は研究費から出すし)、まず本会議にフルペーパーまたはショートペーパーとして投稿してもらった上で、落ちたら SRW で復活、という形のみ今年は認めるつもりである。まあ、NAIST 松本研にいたときは、誰も SRW に投稿していなかったし、松本先生も「最初からワークショップに投稿しないように。まず本会議に投稿してリジェクトされたらワークショップに投稿してもいい」と言っていたし……(そこは、うちでは意図的に緩めていたのだけど)。現地開催が復活したら考え直すかもしれないが、いつになることかなあ。(そういえば NAACL 2021 のワークショップ co-chair をやっていて、ワークショップのプロポーザルの締切は今週終わったのだが、NAACL 2021 は今のところ現地開催の可能性は残したまま、準備を続けている)