大学院で専門を変える人は2年間腹をくくろう

朝に出勤して就職活動に関する相談を受ける。9時半に到着するためには8時過ぎに家を出ないといけないのだが、9時より前に家を出るのは我が家では事前申告制なので、直前だとかなり問題になる。(朝に娘の散歩やお風呂、洗濯や物干しを自分がしているため。)

就職活動は就職活動でやってもらうほかないと思うのだけど、研究とのバランスが難しい。就職活動をすればするほど、研究の時間が減ってしまうのである。(就職活動をしようがしまいが研究しない人もいるが……)来年以降は就職活動が後ろにシフトするらしいし、どうなるのかな〜。もっと後ろにシフトして、論文を書いてから就職活動する、という順番になってくれれば、修了要件を満たしていない人は自動的に留年あるいは退学になるので、話は簡単なんだが……。

午前中は自然言語処理の基礎勉強会。言語モデルの章なのだが、この章はわざわざ英語で読まなくても、北先生の「確率的言語モデル」を読んだらカバーできるような気もする。一度最後まで読んでみないと分からないが……。現在の進み具合だと、Speech and Language Processing を読み終えるのに、来年のゴールデンウイークくらいまでかかりそう(松本研でも、翌年度まで持ち越して読んだりしたこと、何回かあるけど)。

お昼は修士の受験希望者の人とランチ。うちの大学院で必要な基礎学力といえば、数学、英語、プログラミングなのだが、入試で測れるのは数学力と英語力だけなので、プログラミング能力に関しては受験生のほうで「自分は入ったあとやっていけるだろうか」ということを考えてもらわないといけない。

言い換えると、分野外の人がうちの研究室を志望してくれるのはありがたいことだが、情報系以外から来る人に対するケアがコースとして存在するわけではない(研究室としては最大限配慮するが)ので、たとえばプログラミングは自分でも勉強してなんとかする、という人でなければ、NAISTを強くお勧めする。情報系に進学したら情報系の就職ができる、と考えることに無理はないし、同情するのだが、(少なくともうちのコースでは)自分で相応の勉強をしないと情報系でエンジニアとして就職し、かつその後も問題なくやっていくのは厳しいと言わざるをえない。

幸い、今年うちの研究室に来てくれた M1 の3人は、その点問題ないのだが、心の準備ができていない人や厳しそうな人は入試の段階で落としておいてあげる、あるいは入学までに意識を変えておいてもらうのが、お互い不幸にならないために必要なんじゃないかと思う。うちを見学に来る人には、心構えをしてもらう意味で、入学したら最初の1年間は週40時間の勉強と、10時間の授業があるので、バイトをする暇もないくらい忙しいよ、と言っている(これでも、たぶんNAISTより楽じゃないかと思う)。

週40時間の勉強と研究を2年間継続できれば、分野外から来てもあまり真面目にやってない情報系の人と比べて遜色ない実力をつけられると思うのだが、分野外から来る人は、ギャップのぶんハードであることを意識して、基礎知識が足りないせいで他の人より時間がかかっていると思ったら、余分に時間を投入してキャッチアップするくらいの意欲がないと、きついんじゃないかなぁ。(それをやるのも、きついんだけど)

研究会では進捗報告で word2vec の話を聞いたり、先行研究の手法を実装した実験結果を聞いたりする。具体的な数字が出始めてくるとおもしろい。うちの研究室に来てまだ3ヶ月なのに、みんな偉いなぁ。とりあえず、最初から新規性のある研究と言っても難しいだろうし、時間のあるうちに論文をたくさん読んだり、実際のデータを使っていろいろ遊んでみるのがいいんじゃないかと思う。インターンシップに行くことも人生経験として個人的には賛成であるが、研究的には夏休みのような期間に固めて論文を読んだり集中的に実装したりするのが、効果的だと思う。

特に B4 の人は M1 がインターンシップの本番なので、たまたま希望にあったインターン先があるなら行くとよいと思うが、研究室で研究するのも実は悪くない選択肢じゃないかな〜(学部生のうちに研究を進めておけば、M1のうちに国際会議で発表できるかもしれないし、トータルで考えるとその方が得かも?)