コストパフォーマンスのよい大学

午前中は妻が検査のために病院に行くので、家で娘と待機。どちらかが子どもの面倒を見ないともう片方が動けないというのは地味に大変である。月末も検査に来ないといけないようだが、そのとき自分は外せない学内の委員会が入っているので、なんとかしないと……(新生児だと預かってくれるところがない)。

昼の出勤に間に合うかどうかハラハラしたが、なんとかギリギリセーフ。13時からコース長と面談。月曜の昼までに相談しないといけないことがあったので、このタイミングを逃すと厳しかったのである。学部1年次の夏休みの集中授業(ワークショップあるいはプロジェクト形式の実習)について意見を求められたのだが、プログラミングの授業は1年次の後期にならないと始まらないし、難しいところである。独学などで自力でプログラムを書ける人だけを対象にしてはいけないのだろうか?(大学の授業というのは建前的にはそういうのに厳しいようだが)

よくよく考えると NAIST のスプリングセミナーやサマーブートキャンプでは、人文系を含めプログラミングを全然できない人も対象にして、自然言語処理の演習(機械翻訳や文書分類、誤り訂正等)をしていたので、別にプログラミングできなくても問題ないような気もするが、他のコースや学部の人が来てくれるならまだしも、これ以上情報通信コースの中で自然言語処理をアピールしたいわけでなし、主なターゲットが情報通信コースの学生なら、もっと一般的なテーマの方がいいのではないかな〜。

午後は離散数学の基礎勉強会。ひたすら演習を解く。時間はかかるが、議論しながら問題を解いたりするのが一番身に付く。

夕方は国際教養大の H 本さんがいらしたので、立川までの道すがらお話する。本当はもっとゆっくりできればいいのだが、17時に大学を出ようとすると、連続して1時間以上の時間を確保することが困難で、通勤ルート途上の日野のドライブスルーのスターバックスでお話。ドライブスルーになっているスタバはここ以外知らないのだが、現在日本各地に133店舗あるらしい。

日本語教育自然言語処理についてざっくばらんにお話をして、自然言語処理に対する期待を実感する。ただ難しく感じるのは、結局手を動かすのは誰か、という話で、自分は口は出せるが手を出せるほどの時間があるわけでなし、興味のある学生にこういう実際に切望されている研究テーマをやってもらうのが一番いいと思うのだが、興味を持ってくれる人が必ずしもいるわけではないので、請け負いにくい、という点である(自分の研究室では、研究テーマを教員が強制したりすることはないので)。

車内(あと、帰宅後メールで)国際教養大のお話も詳しく伺って、大変興味深い。国際教養大は秋田にある公立大で、いろいろ特色のある大学運営をしていて、今年などはセンター試験のランキングで東大文3と同ランク、京大文学部より上、という、短期間で驚異的な変化を見せている大学。在学中の留学が必須だったり(留年も多く、半分くらいが留年を経験)する一方、学生の能力は有名で、わざわざ東京から名だたる一流企業が訪れ、秋田を出なくても有数の企業の就職できる、などと言われている。

こうやって中の人から直接お話をお聞きするのは初めてだが、だいたい外で書かれていることや報道されていることは正しいそうだ(宣伝のためにそうおっしゃっているわけではないことは分かる)。外で書かれていないことで、そうだろうなぁと思っていたのは、学力試験の偏差値が高すぎるとおもしろい学生が来なくなるのでは、ということで、予想通りそうなっているようだ。偏差値操作で見かけの偏差値が上がるだけならいいのだが、実際上がってしまっているのではないかと……(学力試験の偏差値が高い学生が来たら成功、と思っているなら、それは目論見通りであるが)。

NAISTが非常にユニークでおもしろいのは、学力試験的なものがないし、学部がないので偏差値ランキングみたいなものに載らず、分かっている人しか入学して来ないし、入学する学生のペーパーテストのランキングで大学の評価が決まるのではなく、在学中あるいは卒業後の学生のがんばりで評価が決まるからである。大学が研究教育機関であるならば、入学前に何をしたかという入試の選抜で外部から評価されるのではなく、在学中に何をしたか、という内容で評価した方がまっとうである。

首都大も、人気は出てほしいが、入るのが難しくなってしまったりしないといいけどなぁ。今はまだ入りやすいので、今が狙い目かもしれないが(笑)