1年間でゼロから自然言語処理の研究をする

いよいよ卒研の発表会当日。実は予稿集の準備が終わっていなかったので、朝来て慌てて終わらせる。貴家研の学生だけやけに卒研の予稿のレベルが高い(英語で書いている学生までいる)。他の研究室はぼちぼち、といったところだが、参考文献ゼロの予稿はさすがにいかがなものかと思う。参考にする先行研究などない!とでも言うつもりだろうか……。(指導教員に提出する卒論にはちゃんと書かれている可能性は存在する)

午前中は、忌引きで午後早退しなければならない学生に対し、所属研究室の教員(教授と助教)・コース長・学部教務委員そしてコース幹事(自分)の前でポスター発表をしてもらう。卒業研究だとどこまでが学生の発案でどこからが教員のアイデアか分からないので、微妙なところだがいろいろと質問とコメント。

学生は普通に発表するのと比べると緊張しただろうが、センター試験の追試と同じで、本試験より簡単だとみんな追試を受けるだろうから、別日程の方が厳しいくらいでちょうどいいんじゃなかろうか。あと、忌引きや(いま「きびきや」と入力したら「きび貴家」が出てきた……)病欠のとき、休まざるを得ない本人がつらいと思うので、何か一言でも安心させてあげられるような声をかけようと思うのだが、いつもどういう言葉をかけるのが適切か、悩んで「これでよかったんだろうか」と思ってしまう。いい書籍等ご存知の方がいらしたら、教えていただけると大変ありがたい。

昼から卒研の発表会。2セッションに分かれていて、研究室の学生を2分割してセッションAとBに振り分け、まずセッションAのブースター(60秒の口頭発表)とポスター(60分)、それからセッションBのブースターとポスターである。

うちの研究室の学生は、どうなることかと思ったが全員制限時間を守って口頭発表し、それなりに聴衆の方を見ていたので、みんなOK。うちは4人中1人だけスーツだったが、他の研究室はほとんどスーツだったのでびっくり。修士論文の発表会でも、高間研の学生以外は全員スーツだったのだが、そういう文化なのだろうか。(NAISTにいたとき、松本研の学生で発表のときスーツを着るのは非常にレアケースだったし、他の研究室でもスーツを着るか来ないかはせいぜい半々くらい、もっと少なかったような)

ポスター発表は全部を回り切れないので研究分野の近い石川研、高間研、片山研のポスターを見て回る。それぞれ Twitter データ解析、推薦アルゴリズムの改善、大規模グラフの検索、といったところが大きなテーマかな。午前中のポスター発表もそうなのだが、なんかクラスタリングをしている学生が多いのだけど、なんのためにクラスタリングをしているのか不明(考察がない)だし、クラスタリング手法もよく分かっていない(たとえば何を距離にしたか答えられない)ので、とりあえずデータをクラスタリングさせるのはやめたほうがいいんじゃないかと思った。まあ、それでもみんな実験をちゃんとしているので偉い。

うちの学生も自然言語処理の知識はゼロからスタートして、よく全員なんとか研究を形にできたものだと思う(去年の研究室配属のとき、うちの学生がK家先生から「自然言語処理ってなんだか分かってる?」と言われたらしいが、そう言われてWikipediaで調べるくらいには知らない)。就職する人たちは来週の卒論提出で一段落、大学院に進学する人たちはこの調子で(さらにサーベイに力を入れて)続けて行ってもらえればと思うが、いずれにせよお疲れさま、よくがんばったね、と言ってあげたい。

卒研発表会終了後、学生たちに上記のようなねぎらいの言葉をかけて自分は一路青山一丁目へ。バスで八王子に出て京王線の特急で行くと早いと出たのでそれに従ったのだが、バスが遅れて意味がない……。元々土曜日に来る予定だったのだが、大雪のため今日に延ばしてもらっていたのだった。

用事は無事終了し、大江戸線新宿駅まで行って西武新宿線で帰ってきたのだが、西武新宿での乗り換えってこんなに遠かったっけ? 中井まで大江戸線で行って乗り換えればよかった……。結局田無からタクシーに乗って帰ってきたので、西武新宿から坐って楽をしたつもりがかえって高くついた。