言葉遊びに踊らされない大学院生になる

家族と会う系のイベントがない1日だったので、ぼんやり過ごす。

10月あたりから一気に電気代が上がって何事かと思って首を傾げていたが、どうもトイレの便座の暖房の電気代が高いのでは?ということに気がついたので、暖房を切って様子を見る。冬場は便座1つにつき月1,000円以上かかるらしい。これまで暖房をオンにしたことがなかった(というかそもそもそういう機能がなかった)のだが、局所的に暖めればよいだけなので、そんなに高いと思っていなかったのである。エアコンを節約しても、こんなところでかかっていては意味がないし……。

年末に出ていた「文系大学院生サバイバル」を読んでみた。

ほとんど読むべきところがない……。著者は日本大学の法学部を出て同じく日本大学の文系の大学院に進学したが、日大で博士号を取得しても就職もなく悲惨ですよ、という内容だが、そうであろうことは恐らく(この本を読むと思われる)ほとんどの人にとって想定内であろう。

出版業界は私立大学の人文社会科学系出身の人が多く、そういう方面の大学院に関する情報が取り上げられやすいのだろうが、工学系は人文系と違って博士後期課程に進学しても就職先がなくなるわけではないし、こういうネガティブキャンペーンをいつまでもやられると困る。まあ、行ったらバラ色の生活が待っていますよ、というわけでもないので、ポジティブな話ばかりされても逆に当惑するのだろうけど……。

あと同書で書かれていた「日本の(多くの)奨学金スカラシップではなく教育ローンである」という意見はここ以外でも時折見かけるのだけど(自分も少なくとも学部生のころはそう思っていた)、じゃあ教育ローンと言えばいいかというと、それは単なる言葉遊びだと思う。日本の奨学金は英語で言う scholarship とはそもそも異なる概念であるし、「ルポ貧困大国アメリカII」を読むと、

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

アメリカの高等教育(というか、学部教育)は学資ローン漬けで、(学士の)学位を取得しても貧困から脱出後できるわけでもなく、破産申告するしかない状況に追い込まれる人が多いそうで、日本は「奨学金」に貸与が含まれるとはいえ、アメリカよりもかなり優遇された貸付を受けられるのである。「奨学金」を「教育ローン」と言い換えろ、とおっしゃる方々は、そうすることで融資が(アメリカ並みの)不利な条件に変更されたりする世界を望んでらっしゃるのだろうか?自分も当事者として被害者意識があったので、もっと支援してほしいと思っていたが、少なくとも大学院生は、言葉に踊らされるのではなく、実質的にどうなのか、ということを議論してほしいと思う。