以前紹介した「貧困大陸アメリカ」の続編の
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/01/21
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国が進めた教育ローンで借金漬けにしておいて、突然利率を一気に上げたり、払えなくなったら職場や家族や彼女の家にまで電話を入れまくって取り立てる(=仕事も彼女も失って借金から逃げるしかない)とか、国家レベルでこういうことが行われているというのは恐ろしい。日本学生支援機構も今後取り立てを民間に移譲するという話を聞くが、アメリカでこういった取り立てが功を奏しているから導入する、ということだろうか。本自体の難点を挙げると、たぶん著者がサンフランシスコ近郊に住んでいるからだろうが、インタビューの対象がカリフォルニア一帯に限られていて、本当に国レベルでこういう問題が起きているのかどうか、ちょっと信憑性に欠ける(少なくともカリフォルニアでは正しいのだろうが)。
教育ローンの問題は、「学歴があれば道は拓ける」という前提がアメリカでも(そして日本でも)崩れつつあることで、大学(院)に進学しても仕事があるわけではなく、ただ借金が残るだけ、というのが現状であり、その金額が半端じゃないのが大問題。以前紹介した「学歴の耐えられない軽さ」という本でも指摘されていたことだが、現在「就職氷河期」と言われているが、就職の募集のかかっている総数は以前よりずっと増え続けているし、誰も新卒を取りたがらなくなっているわけではなく、むしろ若者の数は減っているのに採用数は増やしているわけで、問題は以前なら高卒で就いていたような仕事には大卒の学生が就きたがらない、もしくは学生に大企業志向が強すぎて中小企業に就職しないので、氷河期に見えている、という事実である。
とはいえ「学歴がなければ道は拓けない(あるからといって拓けるわけでもないが)」というのもある程度正しくて、やっぱり進学する人が減るわけもないのだが、今後日本はどうなってしまうのだろうか。あまり前途明るくないとは思われるが……。
そういえば前著はコミック版が出ていて
- 作者: 堤未果,松枝尚嗣
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