4月1日から松本研の助教になりました

ようやく新年度になったので公表しますが、4月1日付けで奈良先端科学技術大学院大学助教(情報科学研究科)に採用されました。「小町はどこに行くのだ」という問い合わせがここしばらく相次いでいたので、おおっぴらに書くことができてほっとしています。

去年の4月のときのアンケートではどこに就職するかランキングでは

  1. NTT
  2. Yahoo!
  3. Google

の順番でしたが、そもそも選択肢の中に大学という選択肢がなかったので(自分自身大学のポストが空くのは数年後だと思っていた)、みなさんの予想に反する結果になったかもしれませんが、いろいろ悩んだ末に大学(同じ研究室)に残ることにしました。

FAQ。

Q. 東京で就職するのかと思っていました。
A. 妻と同居するために東京で就職する予定でしたが、紆余曲折の末こういう形になりました。同居したいけど東京には住みたくない、数年ならば許容範囲だが、という中での選択で……。大学の人事は直前まで公表しないものだそうで(今回は准教授が抜けてところてん式に上がる人事だったため、余計)、公表が遅れました。結果的に騙していたような形になって申し訳ありません。今後は近畿圏(奈良・大阪・京都・兵庫)をうろうろするんじゃないかと思います。
Q. 奥さんとは同居じゃないんですか?
A. 妻はいま D2 なので、博士号を取得するまで東京と奈良の別居生活です。子どもも同居するまでは作りません。二人とも学位を取得して大学教員になって共働きするため、学位取得を優先しました。長期休暇の際は奈良に来る予定です。自分も2ヶ月に1回程度東京に帰るつもりです。学位取得後は二人の職場の中点(夫婦間の力関係によってどちらの職場寄りになるのか決まるらしいですが(笑))に引っ越すことになるでしょう。
Q. なんで奈良先端大なんですか?
A. 奈良が好きだからです(割と本気)。自分の出身研究室である松本研究室は自然言語処理の分野で日本トップクラスの研究室(大学院生の人数的には日本最大)で、同じ研究室にずっと留まるデメリットと、世界的にも競争力のある研究室でしばらく修行するメリットを比較して、残ることにしました。奈良先端大も、先日の国立大学評価でトップの評価を受けたように、新しい大学ながらとてもよい大学です。惜しむらくは任期もあるためどこかで出て行かなければならないことで、ずっと奈良にいられるなら一生奈良にいたいものです。
Q. 助教ってなんですか?
A. これまで「助手」と呼ばれていたものです。大学の教員のランクは上から「教授→助教授(~=講師)→助手」だったのですが、助教授は別に教授を「助け」るわけではなく独立した研究もするし、助手も実態は補助をしているだけではなく教育もしていたので、実態を反映して数年前から全国ほぼ一斉に名前を変えました。本当は(旧)助手を(新)助教授にしたかったのでしょうが、名前が衝突して紛らわしいので、新たに助教という名前にしたようです(この名称自体は明治時代に使われていたものを復活されたものです)。文系は「助手」というランク自体が存在しないかもしくは奨学金的な役割しかないので、文系(もしくはイギリスやオーストラリアの大学)で言えば「(専任)講師」に当たるのが工学の「助教」になります。私立大学は大学によってさまざまですが、私立大学でもだいたい「(専任)講師」に当たるものとになります。(英語では Assistant Professor つまり「助教授」になります)
Q. ポスドクですか?
A. ポスドクではありません。任期は5年(再任あり)です。1年更新はさすがに厳しいので、就職活動の際にも複数年契約してもらえるところを優先しました。任期という観点からは、任期もない正社員の内々定をいただいていた研究所とどちらがよかったのかは分かりませんが……。正直なところ、教育はそこそこでいいので研究したいのであれば、そちらのほうがよかったですね。待遇にも環境にも(妻が学位を取るまでの2年間だけは東京近辺の勤務がいい、というこちらの都合を除いて)全く不満はありませんでした。
Q. XXX 社じゃないんですか?
A. 元々教員になりたかったので、チャンスがあるときに大学に戻るつもりでした(そしてチャンスが想定していたよりも大幅に早かったのです)。大学の教員のポストは自然言語処理分野だと日本全国合わせて2-3年に1人しか空かないので、今回の機会をスルーすると次教員のチャンスが回ってくる(採用されるのも確実ではないのに)のは数年後だと思ったので、受けることにしました。
Q. これはエイプリルフールネタですか?
A. ここ数年エイプリルフールにはネタを仕込んでいましたが、今年は違います。今年の松本研のスタッフ一覧

少なくとも2年間は確実に奈良にいるので、しばらく奈良近辺にお立ち寄りの際はご一報いただけると。chasenmecab などを産んだ研究室の一員として、応用に結びついた要素技術(基礎理論)の研究を推進していきたいと思っています。具体的には今後の5-10年で意味解析を「使える」レベルにしたいです。大規模データやログデータなどいろいろなデータを利用した(+いろいろなデータを対象にした)自然言語処理について考えていくつもりです。どうぞよろしくお願いします。