研究も研究室も短距離走ではなく長距離走

午前中、年内最後の進捗報告。そこそこ進んで来ているので、「もう無理」という状況では全くないのだが、やはり誰もベースラインの実装が終わっていないので、取り組んでいるタスクの結果が出ていない、というのに一抹の不安感が漂う。1月末が卒論のタイトルと概要提出〆切なので、まだ5週間あるといえばあるのだが、年明けは相当忙しいような気が……(まあ、だいたい論文提出の〆切前はどこもそんな感じだと思うけど)。

昼には赤坂に移動して共同研究関係のミーティングとお仕事。結局どこかに人間の知識を入れないといけないので、どこにどういう形でどのようにして得た知識を入れるか、の問題じゃないかなと思うのであった(知識の得やすさや質、メンテナンスの容易さ、などがやり方やタスクによって異なるので、状況に応じて最適な方策は変わる)。

夕方は大手町から歩いてNII(国立情報学研究所)へ。言語処理学会編集委員会である。前回は退任する委員もいたのですごく人がいらしたが、今回は新任と留任の委員だけだったので、小ぢんまりとした感じ。来年1月末〆切のお仕事を振られそうになり、余裕があればやりたいのだが、ちょっといまの職場が初年度で今後何が控えているのか分からないので、申し訳ないがお断りする。任期中はそのうち回ってくると思うし……。

言語処理学会編集委員会は年4回だそうで、これくらいのサイクルがちょうどよく、毎回参加しようという気になる。毎月になると、逆に2回に1回しか参加しないくらいの頻度になってしまう(外せない予定が入ってしまうせいでもあるが)。東京にいるので研究会や編集委員会には参加しやすいとはいえ、都心に行くと半日潰れてしまうので、月3-4回くらいが限度かなぁ。

言語処理学会の懇親会(忘年会)で、他の大学のお話をいろいろとお伺いする。大学によってすごく違うんだなぁ、と思う。あと「子どもが小さいうちは時短勤務ができて、週休完全2日取れて、毎日5時に帰れるなら、毎年論文誌に1本共著の論文が発表できるくらい研究ができればいい」と言ったら、もっとみなさんバリバリ研究したいというお話が印象的だった。

自分は大きな研究費がほしいだとか、筆頭著者で何本も論文を書きたいだとかいうような欲はないが、時間がかかってもよいから東京に自然言語処理の研究のできる拠点を作って細く長く研究を続けたいし、自然言語処理に限らずしっかり情報科学の基礎を学んで使いこなせる人を育てていきたい。ただし、研究と教育、研究と開発は切り離せないものなので、少なくとも何か一つのテーマでは世界の最先端を行きたいし、そのためにはそのうち研究に関しては選択と集中をする必要がある(たとえばどんな研究テーマでもOK、というわけではなく、研究室の得意分野に集中させる)のかな、とは思う。

あと、初年度の授業は授業ノートを作って勉強しながら授業して、2年目にスライドを作った、という話も目から鱗だった。最初から全部スライドを作っていたから時間がかかるのか(そして、一度スライドを作ると決めたら全部作らないといけないので、毎週大変)。NAISTは全ての講義がスライドを使っていたので、情報系はそういうものだと思っていたが、これも「思い込み」だなぁ。まあ、最終的にスライドにするなら二度手間にならないので、これはこれで悪くないと思うけど……

(黒板を使うのとスライドを使うのとでは、後者の方が単位時間あたり教えられる内容が増えるし、いま情報通信コースのボトルネックになっているのは、授業に使える時間が少ないことなので、可能な限り時間を有効に使った方がよい)

どういう立ち位置で仕事をしていくのか、今後についても考えさせられるなぁ。