いろんな分野に対する見識を養う

今日が仕事納め。去年は京都(桃山御陵前)に住んでいて奈良に通っていたんだよなぁ、なんてことを思い出してセンチな気分になる。

午前中は副査になっている修士論文の要旨にコメントを入れる。NAIST にいたときは副査を務めるのは同じ研究室の学生、かつ研究テーマが自分に関係するもの(共著で書いた原稿があったり)だけだったので、基本的に全く知らない内容というものはなかったのだが、首都大では他の研究室の学生を頼まれるので、基本的に知らない内容である。とはいえ、通信系の研究のように全く知らないものを頼まれるわけではなく、グラフのマイニングの話だとか情報推薦の話だったりするので、それはそれでおもしろい。

僭越ながら、NAIST にいたときの先生方を拝見していて、やはり教授の先生方は多少専門分野と違ってもちゃんと的確なコメントを返されていたし、そういうコメントができる見識や教養の広さと深さがある人が、ちゃんと教授になっているのだなと感心したものである(と書くと、自分はやや上から目線であるが)。自分も自然言語処理以外の分野の学生にも適切なアドバイスができるようになりたいものである。

やっぱりちゃんと研究している学生の修論は、要旨を見るだけでもほれぼれするし、自分も「この研究、やってみたい!」と思わせるものがある。原稿と発表が楽しみである。

午後は今年最後の事務作業。12月のアルバイト謝金の手続きである。けっこう書かないといけなくて大変。一度やったら慣れると思ったが、かなり複雑なので、何回かやらないと慣れなさそう……。

夕方は研究室。言語処理学会の年次大会はみんなで発表することは断念したが、予算は確保してあるので、聴講したい人がいたら連れて行こうかなと思う。早目に予約すればそんなに高くないようだし。しかし本会議3日目に卒業式が、その翌日に教授会があるので、2日目の夜の懇親会には出ないで帰るような感じかなぁ。2日目の午前中のセッションを聞いて、お昼ご飯をみんなで食べてから帰るくらいが(多少飛行機が遅延したとしても)安全かな。

みんな少しずつ実験の(ベースラインの)結果が出てきたので、喜ばしい。提案手法的なところまで、行けるかな……。きっちりベースラインを実装して、できた結果をしっかり考察(エラー分析)するほうが、闇雲に新規性を出そうとしてぐちゃぐちゃな結果を出すよりよいような気もしてきたが(修論だとそれでは卒業できないだろうが、卒論ならそのほうが研究を積み上げられるようにも思う)。

研究室の学生が動的計画法が分からない、という話なので、今月の頭に学部2年生に教えた講義資料を使って説明する。NAIST にいたときは3つか4つくらいの授業で動的計画法が出てきた(し、実際手で計算したりした)ので、嫌でも覚えたが、首都大では動的計画法が出てくる授業は恐らく自分が今年教えた学部2年生の科目だけであり、かついまの3年生以上はそれを履修していない(し、大学院の授業では動的計画法は復習しない)ので、やっぱりちゃんと研究室でフォローアップしないといけないのかなと思う。研究室に入ってから必要とされる基礎知識は、講義の形式で学ぶのではなく、輪講のようにして学生同士で教え合う・学び合うという形になるのだろうけど……(個人的な経験では後者のほうがよく身に付くのだが、一般的には前者のほうが身に付くと思われているかもしれない)。