分野外の人に最先端の研究を紹介するためのデモ

朝食を食べに六本木の Lauderdale へ。Apple インターン時代の同期の Karan が東京に来ているので、会うためである。(本当はもっと和風のカフェにしたかったのだが、和カフェは大体11時オープンで、遅すぎるので断念)

彼は一緒に仕事をしていたときはまだ Stanford の学部生だったが、今は卒業して社員としてバリバリ働いているようだ。エンジニアリングインターンの同期はみんなすごかったけど、彼は頭の回転の速さが特にすば抜けていた。

最近どんなことやっているの、と聞かれて、自然言語処理を使った第二言語学習の支援をやっている、という話をすると、詳しく質問される。「ことば」に興味があるのは全然変わっていない、というかさらに強くなっている気がする(笑)

最近1Checkerという英文校正アプリが日本で紹介されて流行っているらしい(周期的に流行る)が、NAISTで研究している英文誤り訂正エンジンも、デモの形で出したほうがいいんだろうな。日本でも世界と比べてそんなに変わらない水準の研究をしていると思うのだが、見せ方が弱いし、やはり大学だと作り込みに時間をかけない(研究のコードですら、教育目的も兼ねるので、「これは問題のあるコードだから採用しない」とは言いにくい)ので、大勢の人に使ってもらうのは厳しいかも。

あと話していて、やはりベイエリアの感覚というのが自分には斬新でワクワクするのだなということを再確認。自分はなかなか動きにくくなってきたが、学生や若手エンジニアの人たちはぜひ一度訪れてみてほしいものである。

朝ご飯の後に別れて自分は銀行回り。先日名古屋でキャッシュカードを落としてしまったので、紛失届を出して止めてもらい、再発行をお願いしたりする。PiTaPaSuica と干渉するためパスケースから出したときに落としてしまったようなので、今回は PiTaPa 機能を外してもらう(そもそも Suica が使えるようになったし)。南都銀行も解約したし、関西で使っていたものがどんどんなくなっていくな〜

午後から出勤してメール処理。溜まっている……。

夕方、突然部屋をノックする音がするので出てみたら、とある研究費を出す組織の方で、ちょっとお時間ありますか、というので話を聞いてみる。機械翻訳をやりたいだとか、意味解析をやりたいだとかおっしゃって、機械翻訳とはこういうものだ、意味解析とはこういうものだ、と説明してくださるのだが、そもそも自分の研究室がそういうテーマで過去に研究をしてきていることはご存じないようで、それは20年前の話ですね、そのアイデアは我々が数年前にやりました、などとやんわりとお話していたのだが、要点を得ない。

結局2時間くらい粘り強く「ここ20年で自然言語処理の研究は大きく変わったので、最近10年くらいの動向を調べてみてください」ということをお伝えしたのだが、最後の用件を聞いてポカーンとしてしまう。というのも、「これこれこういう研究をしていただきたいのですが、いくらならできますか?50万円あればできますか?50万円あれば、ポスドクを2ヶ月雇えますよね」と切り出され、いったい自然言語処理分野のポスドクをなんだと思っているのか、情けない気持ちになったのである。

50万円だとせいぜい学生をアルバイトで半年雇うくらいではないかと思うし、そもそも依頼内容に研究的な要素はなく、そんな作業にポスドクを従事させるのは個人的には良心が痛むところである(2ヶ月だけの任期、更新なしで受けてくれる人もいないと思うけど……)。

一般の人は近くに研究者がいないので、ポスドクにどういうイメージを持っていてもおかしくないが、ビッグデータとかいって巨大な予算規模の研究費を出す組織の方がこういう認識では、博士後期課程の学生や、駆け出しの若手研究者も浮かばれない。

夜は学会関係の仕事。時差があると少しのやりとりであっという間に数日経ってしまう……。