研究者は若いうちに武者修行すべし

朝から名古屋地区NLPセミナーの準備。睡眠が足りずに横になったりしていたので、思うように進まなかったが、なんとか間に合わせる。

京都駅からこだまで名古屋へ。名古屋は一昨年豊橋言語処理学会の年次大会があったとき、震災の影響で帰りの新幹線が止まっており、在来線を乗り継いで名古屋から近鉄で帰ったので、そのとき乗り換えるために降りて以来である。

名古屋大学に来るのは初めてなのだが、名古屋駅から地下鉄で25分ほど。地下鉄を降りてびっくりしたが、地上に出ると目の前が大学である。駒場東大前も駅の前が大学なのだが、駅から大学の門まで50mほどある (門から校舎まではさらに歩く) のに対し、名古屋大学駅はどちらかというと構内に駅がある感じ。

大学に着いたら構内のあちこちに女子高生がいてびっくり。あとで教えていただいたが、どうやら附属の中高があるそうで、それで構内に中高生がいるとのこと。なるほど〜。こういう年齢の人たちに、(自然言語処理でなくても、情報系でなくてもいいので) 研究の楽しさが伝えられるといいんだけどなぁ。

ちょっと早めに着いたので、駒谷さんに学生室を案内していただいたり、デモを見せていただいたり。やはり短時間で見せられるデモは大事だなと思う。

名古屋大学ではほとんど学生が博士に進学しないそうで、なぜ松本研はそんなに博士に進学するのか、と不思議に思っているそうだが、松本研は博士にたくさん学生がいるので、進学後がイメージしやすいというのが一番大きいかも。(どういうところに就職しているか、など含めて)

博士号を取得したあと大学で研究を続けたい、それ以外の選択肢は考慮していない、という人ばかりだと、そもそも大学のポストが学生数ほどには用意されていないので、かなり高い確率で就職できそうな人以外は進学するのを断ったほうがいいようにも思うが、企業への就職も含めて広く考えると就職先がないということはないし、研究を続ける傍ら海外に数ヶ月〜1年程度インターンシップに行ってみたいだとか、自分の作ったツールをオープンソースでリリースしてみんなに使ってもらいたいだとか、博士でやりたい、あるいは挑戦したいことがあるなら進学してもいいんじゃないかな。

セミナーは名古屋大学自然言語処理関係の研究室、佐藤・駒谷研究室松原研究室、そして外山グループを中心に教員・学生が集まり、名古屋外からも豊橋から[twitter:@tsuchm]さんがいらっしゃっていたり、総勢30人弱いらして、けっこう緊張する。現在は自然言語処理の研究室ではないが、松本研の卒業生の[twitter:@hiraku_mrt] くんも来てくれて、嬉しい限りである。

このセミナー、だいたい月1回開催されていて、学外からゲストスピーカーを1人、学内から1人発表者を立てて、それぞれの研究について話してもらう、という形式だそうで、かれこれ数年続いているらしい。駒谷さんが「最初は名古屋大学でバラバラに研究している自然言語処理の研究室で集まってなにかやろうと思って始まったが、なにより外部からお招きして話してもらう自分たちが楽しいので、名古屋がどうだという話とは別に、今まで続いている」とおっしゃっていたのが印象的である。松本研でもときどき外部から人をお招きしてお話してもらっているのだが、確かに月1回くらい外部から人に来てもらうのはよい刺激になるし、内部の人 (博士課程の学生?) と合わせて話す形式にするとそれなりに議論も深まるので、こういう形式もいいなと思った。

さて、まず自分の発表からということで、生駒日記を読んだことのある方、と聞いてみたら、1/3ほどの方々が挙手してくださって、びっくりするとともにありがたいと思う。けっこう広く読者がいるようだ。最近は自然言語処理の話が相対的に少ない (学生の仕事が増えているので、) ので恐縮である。

トークは45分と聞いていたので、今年に入ってからの松本研での言語教育勉強会の活動を紹介するだけにしようと思っていたのだが、4本紹介しようと思っていた最初の1本目の話だけで40分使ってしまい、残りの3本はそれぞれ5分ずつで紹介して、質疑応答も入れてなんとか1時間話させてもらったが、冷や汗ものであった。話してから思うのもなんだが、1年弱の間にいろいろあったなと改めて思った。

セミナー終了後、[twitter:@tsuchm]さんと少し評価尺度についてお話しする。このあたりも確かに考えないといけないことで、先日の誤り検出・訂正ワークショップでも議論になったのである。結局最終的にはどういう応用を考えているかによると思うが、どれくらいできれば使えるかは実際使ってもらわないと分からないので、やっぱりデモを作ったりするのは大事である。

佐藤先生と駒谷さんがディナーに招待してくださって、おいしいご飯で楽しいひととき。いろいろと教えてくださる。ディナーに行く電車の中、博士号を取得した学生をそのまま同じ研究室のポスドクにするのは、ポスドクという制度の趣旨を考えるとよくない、というお話を佐藤先生がされたのが印象的であった。自分も博士号を取得してそのまま同じ研究室のスタッフになってしまったので、やっぱり違う環境に行ったほうがよかったのかもなぁと思う。もっとも、自分は松本研にいても、松本先生直々に面倒を見てもらうより、外部の方にお世話になることのほうが多かったので、松本研にいても研究的にはあまり松本研の系譜を引いていないのかもしれないが……。

帰りはこだまの終電。新幹線とはいえ乗っている時間が1時間未満だと落ち着かない。というか、ひょっとすると家からNAISTに行くより名大に行く方が速いかもしれない……。来年の言語処理学会の年次大会は名古屋大学だそうだが、さすがに毎日通勤ではなく名古屋に泊まりかな?